GMO社長が実践する、夢をかなえ続けるための2つの行動

[熊谷正寿，ITmedia]

この記事は、『一冊の手帳で夢は必ずかなう』（熊谷正寿著、かんき出版）に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載したものです（無断転載禁止）。

一冊の手帳で夢は必ずかなう

現実が苦しいときこそ、「明確な夢を持つ」ことだ。GMOインターネットグループを率いる熊谷正寿氏は言う。仕事からプライベートに至るまで、数々の夢を実現し続けている熊谷氏が執筆した『一冊の手帳で夢は必ずかなう』より、もっとよい人生を歩むために、目標をバランスよく整理する方法について紹介する。

　夢がどうして大切なのか。それは、人は夢で描いた自分の姿以上にはなれないからです。

　例えば、オリンピックの金メダリストのことを思いだしてください。彼らは、絶対に金メダルをとるんだという明確な夢を持っていたはずです。何となく練習して何となく参加して、気が付いたらメダルをとっていました、という人はいません。金メダリストは、それを手に入れたいと強烈に夢に描いている人の中から出てくるのです。

　人生でも同じです。「まあ貧乏はいやだけど、食べていけるくらいお金があればいいか」という程度の夢しか描けなければ、どんなに頑張ってもその夢程度の結果しかかなえることはできません。

夢は書き出した方がいい

　そんなこといっても、どんな夢を思い浮かべればいいのかまだ分からないと思われる方もいるでしょう。それならば、ぜひいろんな人と交流することをおすすめします。

　憧れの人がいるなら、その人の生活や思想、世界観を観察しましょう。実際私も、多くの方々とお会いすることで、さまざまな夢を持ち、膨らませることができました。

　そして、そこで発見した夢ややりたいことを、「やりたいことリスト」に書くのです。「やりたいことリスト」を作るメリットの一つは、作るだけで気持ちが落ち着くことです。実際にリストを作ってみると分かりますが、項目を書き連ねていくにつれて、自分の中から不思議と苦しい現状が消えていきます。胸がスーッとします。

　私自身もリストを作っている最中に、「僕には、お金も時間も学歴もない。今は苦しい。でも、こんなにたくさんの夢があるではないか」という思いを強くし、やる気が満ち満ちてくるのを実感したことを覚えています。いかに現実が苦しくても、人は夢を持つことでその苦しさから救われるものなのです。不思議なもので、具体的に文字にすると、夢が“居所”を得るせいか、気分が落ち着いてきます。

　「僕には、こういう夢があったんだな」と再認識し、夢に近付く努力をしようという元気もわいてきます。

自分の幸せを可視化する「夢・人生ピラミッド」

　「やりたいことリスト」ができたら、「夢・人生ピラミッド」をつくってみましょう。リストアップした夢を、「夢・人生ピラミッド」の各セクションに振り分けます。セクションは、「健康」「教養・知識」「心・精神」「社会・仕事」「プライベート・家庭」「経済・モノ・お金」の6つです。「夢・人生ピラミッド」とは、これらのセクションを三段に分割し、「基礎レベル」「実現レベル」「結果レベル」に分けたものです。

『一冊の手帳で夢は必ずかなう』より

　私の場合は、20代で「基礎レベル」の夢を達成しようと考えました。その一番の柱となるのが「健康」で、あと2つの課題が「教養・知識」と「心・精神」です。「実現レベル」には「プライベート・家庭」と「社会・仕事」、「結果レベル」には「経済・モノ・お金」があります。

　つまりこのピラミッドは、「何よりも大切なのは健康です。次に、さまざまな分野の専門家とお話ができるような教養を持つことと、曇りのない強く開かれた心を持つことが必要です。この3つの基本的なセクションで夢が達成できれば、自ずと仕事と家庭の夢は実現するし、結果的に経済的な豊かさにも恵まれます」ということを表したものです。

　また、それぞれの項目の「究極の目標」は、例えば以下のようなものです。

「健康」

……死ぬまで医者にかからず、現役を続けたい。

「教養・知識」

……外国人や有名人など自分とは縁が遠い人たちとも交流できる教養を身につけたい。

「心・精神」

……誰からも好かれる人間（心）になりたい。

「社会・仕事」

……自分のビジネススキルや人脈を生かして、自分の会社を経営したい。

「プライベート・家庭」

……快適で、笑顔の絶えない家庭を築きたい。

「経済・モノ・お金」

……老後に、何の心配もなく豊かに暮らせる経済力を蓄えたい。

夢は「バランスよく」かなえる

　どうして、このように6つに分類するのか。それは、夢をかなえたいのなら、このピラミッドをゆがみも偏重もなく完璧なカタチで実現するオールマイティーな人間にならなければならないからです。

　仮に「大金を手に入れたい」という目標を立てたとしましょう。でもそのままだと、人をだましたり、どんな悪いことをしてでも、大金を手に入れようという考えが生まれてくるかもしれません。そこまでいかなくても、仕事中毒の人間になって家庭を顧みず、大金は手に入れたものの、家族を犠牲にしてしまうなんてことがあっては、本末転倒です。

写真はイメージ、ゲッティイメージズ

　私を含めて誰もが、成功とお金を手にしたいと願っているでしょう。ですが、欲に支配されると道を誤ります。「夢を達成した結果、手に入れる」のが成功であり、お金であるという「幸せの前提」を忘れてはいけません。

　夢・人生ピラミッドの6つの項目全てを満たした人を、「全人」と考えています。ぜひこの「全人」を目指したいと願っています。

筆者プロフィール：熊谷正寿（くまがいまさとし）

1991年、株式会社ボイスメディア（現・GMOインターネットグループ）を設立。2025年3月末現在、上場企業10社を含む119社のグループ企業、約8000人のパートナー（従業員）を率いる。仕事のみならず、健康、精神、教養、プライベート分野でも手帳に書いた夢を次々と実現。現在は、小型のホンダジェットで計器飛行証明の取得にチャレンジしている。