新NISA投資家がメタプラネット株に殺到…… “脱法的ビットコインETF”の未来は(3/3 ページ)

» 2025年05月27日 12時00分 公開
[古田拓也ITmedia]
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金融庁、東証は「事実上の脱法的ETF」を放置するのか

 金融商品取引法上、ETF(上場投資信託)には厳格な運用・開示・監督体制が求められる。ビットコインETFは日本では未承認であるにもかかわらず、メタプラネットのように会社資産の大半をビットコインにしてしまう「事実上のビットコインETF」として取引されることは、本来の制度趣旨を逸脱するのではないか。

 このような脱法的構造を放置すれば、投資家保護の観点からも大きな問題となる。株価の裏付けがほとんど、「ビットコインを保有している」というだけであれば、それは株式とはいえないのではないか。

 これが可能であれば、極端な話、理論上は「ポケモンカード」だけをバランスシートに組み込む上場企業が現れ、NISAでポケモンカード投資ができるような展開すらもアリになってしまわないか。

 そうすれば、投資信託をはじめとした金融規制の仕組みが根本から崩壊してしまう。投資信託にPBRの考え方を当てはめるとすれば、特殊な商品でない限り、それは当然ほぼ1倍だ。しかし株式で同様のことを行うと、メタプラネットのように裏付け資産が投資額の何十分の1にとどまるケースすらある。

 金融庁および当局にはこうした構造を早急に是正し、ビットコインETFの制度化を急ぐか、もしくは類似構造への監督強化が求められる。

健全な市場形成には「規制」と「教育」が不可欠

 短期的な熱狂は往々にして長期的な傷跡を残す。市場が成熟するには、ルールの整備と投資家教育の両輪が不可欠だ。メタプラネットの一件はその警鐘である。また、企業の経営層においては安易な暗号資産の大量保有に慎重になるべきだろう。

 特定の企業が株価や企業価値を大きく上昇させたことで、他社が追随したくなる気持ちも分かるが、これは制度の盲点を突いたビジネスモデルであり、長期にわたって持続可能なモデルであるか否かには疑問符が付く。

 ビットコインの存在をどう評価するかは別として、それに付随する金融商品の在り方について、今こそ真剣に議論されるべき時期に来ているといえる。

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