「部長、正直に言っていいですか? H課長、心配しすぎなんです」
小さなミスでも必ず事前に確認を求められ、顧客への連絡一つとっても「念のため内容を見せてくれ」と言われる。まるで新人時代に戻ったような気分になるという。しかもH課長は「君のためを思って」と善意のつもりらしい。
「ありがたいのは気持ちはあるのですが、正直、息が詰まるんです」
このような事例は他にもある。
ある製造業では、部下がプレゼン資料を作ると、上司が「顧客に失礼があってはいけない」と言って、誤字脱字から話す内容まで細かくチェックし、最終的には上司が同席し、自ら補足説明を始めてしまう。部下からすれば「信頼されていない」ような気持ちになるという。
部下から煙たがられる上司には、決まった特徴がある。私が20年以上企業の現場で見てきた中で、次の3つが代表的だ。
1つ目の特徴は、やたらと先回りしようとする姿勢だ。ある営業3年目の若手が「ウザイ……」とため息をついていた。営業3年目なら、ある程度の判断はできるはず。にもかかわらず「大丈夫か?」「何か困ったことはないか?」と1日に何度も声をかける上司がいる。
メールの文面から会議の進め方まで、事前に確認を求めたがる。部下からすれば「そこまで心配されなくても」という気持ちになるだろう。
2つ目の特徴が、確認が細かすぎることだ。スケジュールや進捗(しんちょく)を異常なほど管理したがる上司がいる。「この件、どうなってる?」「明日の準備はできてる?」といった確認を繰り返す。しかも自分なりのやり方を押し付けてくる。
「重要な商談はオレンジ色のフラグを付けたほうがいい。それから、フラグごとにソートをかけることでスケジュールの優先順位が分かって……」
このように、メールソフトの細かい設定にまで口出ししてくるのである。
そして3つ目の特徴が、過保護すぎて挑戦させないことだ。これは最も問題のある姿勢だろう。部下が新しい提案や挑戦をしようとすると「失敗したらどうする」「リスクが高すぎる。まだやめておけ」と止めてしまう。
「それよりも、このような企画にしたほうが安全だから。まだ経験が足りないんだから、社内で目立つ必要はない」
このように、結局は上司が「安全な方法」を指示して、部下の成長機会を奪ってしまう。部下のやる気は徐々に削がれていくだろう。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
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部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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