東京商工リサーチが「円安」関連の倒産について調査したところ、2025年5月の倒産件数は3件で、今年最少を記録した。前年同月(12件)と比べて75.0%減となり、低水準で推移していることが分かった。
一方で、負債総額は92億7000万円(前年同月比37.9%増)となり、3カ月ぶりに50億円を超えた。負債10億円以上の倒産は1件(前年同月は2件)だったが、靴などを販売するロイヤル(名古屋市)が民事再生法の適用を申請し、負債額は83億3000万円に上った。
5月の「円安」関連倒産の内訳は、「製造業」「卸売業」「小売業」が各1件ずつ。ドル・円相場は1ドル=142〜147円の範囲で乱高下を繰り返し、輸入品の価格は安定していない。「円安」関連の倒産は、2022年7月以降、35カ月連続で発生している。
あわせて、実質賃金は年度ベースで3年連続のマイナスとなっており、米の価格をはじめとする食料品や電気・ガスなどの物価上昇にも歯止めがかかっていない。こうした状況が、消費者心理に影響を与えている。
現時点では、円安に伴う輸入コスト上昇分を価格に転嫁するのは難しく、中小企業の価格設定にも影響が及んでいるという。為替相場は、トランプ米大統領の発言一つで大きく変動する局面も見られ、東京商工リサーチは「まだ安定の兆しは見えず、円安を一因とした倒産は今後も続く可能性がある」と指摘している。
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