「ラーメン店市場」が活況だ。帝国データバンクの調査によると、市場規模は2024年度の見込み値で7900億円に到達する見通しとなった。10年前(5066億円)から56%増加となり、集計可能な2010年度以降で過去最高となる。
2024年度の業績動向をみると、前年度から「増収」となった企業が44.7%を占め、コロナ禍からの回復が進んだ2022年度以降、3年連続で40%を超えた。「増益」は55.0%と、比較可能な2010年度以降で過去最高だった。
2024年度末(2025年3月時点)で、売上高が上位50社に入る主なラーメンチェーンの店舗数は、およそ6200店にのぼった。10年前(5043店)に比べて約1200店増加し、2010年度以降で初めて6000店を超えて最多となった。いわゆる「家系ラーメン」や「濃厚豚骨ラーメン」などのチェーン店で出店が続き、市場規模・店舗数ともに全体を押し上げた。
足元では吉野家HDや「磯丸水産」などを展開するクリエイト・レストランツHDなどの外食チェーンが「ラーメン事業」に参入するケースも増えている。2023年度時点で、ラーメンチェーン上位3社の売り上げは市場全体の約25%にとどまっており、まだまだ伸びしろがある。2025年度以降も、ラーメン店市場は大きく成長すると見られている。
2022年度以降、原材料や人件費、光熱費といった各種コストの負担増が経営面で課題だった。原材料のトータルコスト推移を示す「ラーメン原価指数(豚骨ベース、東京都区部)」をみると、2020年度平均を100とした場合、2024年度平均は129となり、5年間で約30%上昇した。
原材料価格の上昇によってラーメンの原価は高止まりしていたが、その一方で日本式ラーメンの知名度が国際的に高まり、アジア圏からの観光客を中心に集客は好調だった。加えて、大手チェーンが積極的に出店を進めたことで、コスト上昇分を吸収できるだけの売り上げを確保できたケースが多かった。
また、「1000円の壁」を超える新メニューやセットメニューの拡充など、客単価の引き上げが進んだことも収益改善を後押しする要因となった。
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