HMDは胸に装着するウェアラブルカメラと連動している。カメラ映像を表示できるほか、映像を指令センターに送る機能もある。
「警備員が柱に隠れつつ、カメラだけを手で外側に出して、HMDで状況を確認するなどを想定しています」(大部氏)
国内でHMDのような装置を導入したのはテイケイが初だが、ウェアラブルカメラのような装置は「東京マラソン2019」でセコムが導入したことがある。音声でのやりとりが難しい大規模イベントなどで、同様の技術を他社も導入する可能性は高い。なお、技術的な詳細や1台当たりのコストは非公開だ。
HMDの開発では、帽子との適合性で試行錯誤したという。
「警備員が頭部に被る装備品には帽子やヘルメットなど3種類あり、それぞれ素材や硬さが異なります。警備の際は動き回るので、HMDを固定しなければなりません。3種類の装備品にしっかりフィットするよう、アタッチメントを工夫しました」(大部氏)
国内では飲食や建設を中心に、業界を問わず人手不足に悩む企業は多い。厚生労働省によると、パートを除く全国の有効求人倍率は2025年3月時点で1.24倍だが、警備員を含む保安職業従事者は7倍を超える。テイケイがHMDとウェアラブルカメラを開発したのも、同様の課題を解決するためだ。
「警備業界でも人手不足は課題です。当社ではこれまでマンパワーに頼る警備体制を敷いてきましたが、環境の変化に伴い、人だけでなく技術を活用しようと、HMDの開発に至りました。視覚や聴覚は機械の方が優れている部分もあります。技術やデータを活用しながら、最終的には人が判断する警備体制を構築していきます」(大部氏)
同じような文脈で、同業界では自律移動型の警備ロボットも導入が進む。もちろんテイケイも導入している。人件費も高騰しており、業界では機械化がさらに進みそうだ。
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