「男が日傘を差すなんて……」をどう変えた? 男性向け日傘180万本ヒットのワケ(2/5 ページ)

» 2025年07月12日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

「デザイン性」や「軽さ」を追求

 1985年創業のワールドパーティーは、レイングッズの専門メーカーとして、「Wpc.」や「UVO(ウーボ)」など複数の傘ブランドを展開する。顧客は9割近くが女性だったが、2021年に「男の晴雨兼用傘」と銘打って、新ブランドのイーザを立ち上げた。

 「以前から男性用傘ブランドの構想はありましたが、世間には『男性が日傘を差すなんて』という価値観がありました。しかし、2020年頃から男性向け化粧品市場が拡大する動きがあり、『美容男子』といった言葉も聞かれるように。環境省も熱中症対策として『日傘』を推進するようになり、今なら男性用日傘が受け入れられるのではないかと考えました」

イーザは、男性用の晴雨兼用傘ブランドとして2021年に誕生(ワールドパーティー提供、以下同)

 男性に特化した晴雨兼用傘を開発するにあたり、男性のニーズを随所に反映させた。

 マーケティング調査では、「日焼け対策」を主な目的として日傘をさす女性と異なり、男性は「暑さ対策」のニーズが最も高いことが判明。日常的に持ち歩くことを踏まえ、「デザイン性」や「軽さ」にもこだわることが分かった。

「遮光率」と「UVカット率」は100%で、機能性の高い生地が強みだ

 傘専門メーカーの同社は、JIS規格において「遮光率」と「UVカット率」が100%、「UPF評価」(衣類における紫外線の遮断効果)が最高ランク(50+)の評価を取得した機能性の高い生地を強みとする。イーザにも、同様の生地を活用して高い機能性を持たせた。

 「『傘の強み=生地の強み』ともいえます。日傘における遮光、遮熱、UVカットには、生地の厚みや生地の裏面に施すコーティング加工が寄与しており、この加工の精度が非常に高いのが当社の強みです」

シリーズ最軽量の「ウルトラライト」は、ポケットにも入るサイズ感だ

 「デザイン性」にもこだわった。あらゆるブランドの男性用傘を研究しながら試作を重ね、無地を基本としたシンプル、かつスタイリッシュなデザインを目指した。

 「体をしっかり覆えるか」よりも「軽さ」を求める男性が多いことから、手のひらサイズやカバンに収納しやすいスリムタイプなど、軽量モデルを充実させているのも特徴だ。2025年2月に発売した最新製品「ウルトラライト」(4色、各4620円)は、スマホよりも軽い128グラムに抑えた。

 全7種類ある製品シリーズ(2025年7月時点)のうち、手のひらサイズで手頃な価格の「コンパクト」(9色、各3630円)が最も売れ筋だ。次いで、シリーズ最薄で軽さもある「ライト&スリム」(9色、各4620円)、自動開閉で直径105センチとワイドな「オートマティック&セーフ」(4色、各5060円)と続く。新製品の「ウルトラライト」も好調だ。

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