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AIが「正解」を教えてくれるのに あえてチームメンバーの「関係性」に着目すべき理由(3/5 ページ)

» 2025年07月23日 07時00分 公開

成長への壁を乗り越える、「エッジ」という考え方

 コミュニケーションレベルと同じくらい頻出するテーマ(課題)に「会議で会話が少なくなる」というものがあります。これは先ほど触れた心理的安全性にも関連しますが、「本当にこんなことを言っていいのだろうか」「失敗したらどうしよう」といった心理的なハードルが生まれるというのがよくある理由です。

 チームや個人が新しいことに挑戦したり、変化しようとしたりする際には、人は誰しも抵抗を感じることがあります。目に見えない「壁」や「ためらい」、システムコーチングではこれを「エッジ」という概念で捉えます。

 エッジというのは「端っこ」という概念であり、具体的には既知の領域から未知の領域へ移行する際の心理的なハードルや抵抗感を指しています。既知と未知、それぞれを「一次プロセス」と「二次プロセス」と呼びます。先ほどの会議の例で言えば、「もっと主体的に発言したい(二次プロセスへの誘い)けれど、批判されるのが怖くてなかなかできない(一次プロセスにとどまる)」といった状況というわけですね。

ai 「エッジ」という概念

 筆者自身も新しいワークショップのデザインや、これまでにないチームビルディングのアプローチを試みる際、「過去の成功事例に倣って、安全な選択肢を選ぶべきか」と「これまでの常識を打ち破るような、全く新しい体験設計に挑戦すべきか」の間で葛藤し、参加者からの反応や成果への不安から、つい慣れ親しんだやり方に戻りたくなることが少なくありませんでした。

 しかし、エッジという概念を認識し、その恐れと向き合い、あえて未知の領域に踏み込もうと決めたことで、予想をはるかに超える学びや、チームとしての新たな一体感が生まれたことを経験上知っています。

 エッジは、個人だけでなくチーム全体にも存在します。例えば、組織として新しい方針を打ち出しても(二次プロセスへの誘い)、現場のメンバーが変化への不安や過去の経験から抵抗を感じる(一次プロセスにとどまろうとする)場合などです。このエッジの存在に気付き、それが何なのかを対話を通じて探究し、どう乗り越えていくかを考えることが、チームの成長にとって非常に重要になるのです。

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