HR Design +

AIが「正解」を教えてくれるのに あえてチームメンバーの「関係性」に着目すべき理由(5/5 ページ)

» 2025年07月23日 07時00分 公開
前のページへ 1|2|3|4|5       

AI時代に求められる力

 AIが膨大な情報や選択肢を提示し、「正解のようなもの」が瞬時に生成される現代では、「すぐに着地(解決)しない思考」が苦手になり、分かりやすい答えに飛びつきがちになるというリスクもあります。しかし、この「すぐに着地しない思考」こそが、真に新しい問いや価値を生み出す土壌となるのです。

 AI時代に求められるのは、むしろ「AIの誘惑を断ち切る力」。チームとして最適な解を見いだし、新たな価値を生み出すためには、メンバー間の質の高い対話、相互理解、そして強い信頼関係が不可欠です。

ai 提供:ゲッティイメージズ

 システムコーチングとも深く関連する概念に「ネガティブ・ケイパビリティ」というものがあります。これは「複雑なものを複雑なままに、分からないことを分からないままに、痛みを痛みとして、判断を保留して抱え持つ力」のことです。システムコーチングでは、まさにチームが「分からない」状況に直面した際に、安易な解決策に飛びつくのではなく、その「分からなさ」を共に探究し、乗り越えるエッジを支援するアプローチといえるでしょう。

  • チームを一つの「システム」として捉え、その「関係性」に焦点を当てること
  • コミュニケーションにおける「3つの現実レベル」を意識し、すれ違いを防ぐこと
  • 成長の過程で現れる「エッジ」を認識し、それを乗り越える勇気を持つこと

 AI時代において、私たちの創造性や協働の質が問われる中で、普段のチーム活動において、少し立ち止まって自分たちの「関係性」について考えてみるきっかけになれば幸いです。

著者プロフィール:田中拓也

大手印刷会社でWebディレクターとしてキャリアをスタート。以降、ゲーム・エンタメ企業や八百屋系EC企業でデザイン責任者を務めた後、ITソリューション企業にてUXデザイナーとして、多様な業界(教育、HR、業務システムなど)のプロジェクトに従事。並行して、ワークショップデザイナーとしても活動を広げ、実践的な共創の場づくりに注力。2021年よりグッドパッチにDesign Strategistとして参画。UXデザインの専門性を生かし、事業開発やプロジェクトマネジメントを通じて、クライアントの価値創出を支援している。


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR