今回発売した「UD-60A」は、同シリーズの特徴である縦模様を再現した。「今の時代でも受けるデザインを考えた」(池田さん)
ただし、同社が目指したのは「復刻」ではなく、「オマージュ」だ。オマージュ製品の開発には課題も多く、最大の難しさは素材確保だった。技術進歩によって製造が容易になると思われがちだが、実際は簡単ではなかった。特にカセットテープは、需要とともに部材の調達(仕入れ)が厳しくなっているという。
こうした制約の中で、当時の雰囲気を再現することに苦労し、素材確保の難しさは数量限定発売の理由にもつながっている。
販売にあたっては、異なる世代へ同時にアプローチする戦略をとった。当時を知る世代には、UDシリーズで大切な曲を録音したという「懐かしさ」を訴求し、若年層には昭和レトロブームの流れで、古き良きデザインが持つ「新鮮さ」をアピールした。
また、カセットテープを入れるケースを厚型にすることで、取り出しやすさを高めるなど、現代向けに実用性も重視した。
ニッチな市場ではあるものの、想定以上の売れ行きを記録した。自社ECサイトでは、発売から数時間後に完売し、小売店での在庫も、(7月8日現在)店舗に残る分のみとなっている。ターゲット世代だけではなく、幅広い年齢層からの支持を集めたという。
さらに、「UD-60A」と同時期に発売したポータブルカセットプレーヤーの販売も好調に推移するなど、今回のカセットテープ発売が話題を呼び、関連機器の需要も押し上げた。
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