長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
外食の成長市場として「朝食(モーニング)」に注目が集まっている。
モーニングというと、喫茶ではかねてビジネスパーソンや大学生向けに、トーストを中心にゆで卵、ミニサラダ、コーヒーなどをセットとしたサービスを行ってきた。
特に名古屋を中心とした中京地区ではモーニングサービスが盛んで、「コメダ珈琲店」では今のように全国チェーンになる前から、定年退職したシニアが毎日のように通う光景が見られた。常連たちはコーヒーが割引になる回数券を購入して、無料サービスのトーストを食べながら、無料で読める新聞を読みつつ、コーヒーを飲む。彼らが社会との接点を保つ、職場に代わる一種のコミュニティの役割を果たしていた。
今後、日本では高齢化が進み、定年を過ぎたシニアが増えると、コメダのような名古屋式モーニングが広がるという予感があった。
喫茶店のモーニングを補完する形で、ハンバーガーチェーンでも「マクドナルド」の「朝マック」や「モスバーガー」の「朝モス」などは、既に定着している。和食の分野では「吉野家」「すき家」「松屋」の3チェーンが、塩鮭や牛皿をおかずにした、安価な朝食を販売している。
近年は、モーニングがファミレス、回転すし、定食などの業態にも広がってきた。しかも「ガスト」のようなカフェレストラン型の業態だけでなく、今までモーニングをやっていなかった「サイゼリヤ」「びっくりドンキー」「はま寿司」などもモーニングを始めたのだ。
背景として、コロナ禍により夜の集客が難しくなったことがある。新しい顧客の開拓を狙って、モーニングを強化するチェーンが続出した。定年を過ぎたシニアの人口増加に加えて、一定数定着したテレワーク、朝をしっかり食べて体調を維持しようという健康志向の高まりなどが、朝食市場の成長を後押ししている。
具体的に朝食に力を入れている各社の戦略を見ていこう。
「290円」朝食を巡る競争が激化!? 松屋は新作「丼」を一部店舗で投入、なか卯は提供時間を拡大
びっくりドンキー、「990円」朝食の反響は? ホテルのようなメニューを開発した背景Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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