不正相次ぐ「日本郵政グループ」 社長交代でも全く喜べない深刻な理由(1/5 ページ)

» 2025年07月31日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役。横浜銀行勤務時代、全銀協へ出向した際はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。06年に支店長職をひと区切りに退社、現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーとともに情報通企業アナリストとして活動している。


 根岸一行新社長を選任した日本郵政の定時株主総会は、新体制歓迎ムードからは程遠い荒れた場となりました。直近で発覚した郵便配達員の不適切点呼問題をはじめ、一向に止むことのない不祥事に、業務管理体制への批判と共に抜本的改革を求める厳しい声が相次いだのです。

 間もなく2007年の民営化から18年が経過する中で、なぜ不祥事は止まないのでしょうか。巨大組織が抱える問題点を探ってみます。

なぜ日本郵政で不祥事が相次いでいるのか(出所:ゲッティイメージズ)

 株主総会でも大きく取り上げられた直近の不祥事は、日本郵便の集配業務を担う約2400局で、運転手と管理者の間でのアルコールチェックなどを目的とした点呼業務を適切に実施していなかった、さらにその実態を偽る不実記録があったというものです。

 1月の近畿支社での点呼未実施発覚を受けて、全社調査をした結果、調査対象の約75%の局で不正があったという驚きの実態が判明しました。これは安全確保のための法令上の義務行為違反であり、職場ぐるみの不正行為でもあったことから、運送業務を管轄する国土交通省は同社の貨物輸送事業許可を取り消すという重い処分を科したのです。

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