この行政処分ではトラックなど約2500台の使用停止を命じており、この先5年間は許可の再取得ができず業務に大きな支障をきたします。日本郵便のトラック輸送は、中距離や大口集荷などで毎月約12万便の稼働があり、今後は子会社経由を含めその57%を外部委託し、残りを軽バン輸送などで代替するといいます。
経費負担が膨らむことは確実で、今後は軽バンの使用停止も取り沙汰されており、もしそうなれば外部委託経費はますます増えるでしょう。。同社郵便事業は2025年3月期で42億円の赤字を計上しており、郵便料金値上げにより黒字化を見込んだ今期決算にも暗雲が垂れ込めています。
日本郵政の不祥事は民営化以降、本件に至るまで断続的に表沙汰になっています。ここ数年に報道された不祥事だけでも、2023年に一時払い終身保険を国の認可前に違法勧誘していた件、2019年以前にも同様の保険勧誘事例があったとされる件。さらに2003〜24年にかけてゆうパックの配達業務委託先に対して不正な違約金を徴収していた件、2024年に発覚したゆうちょ銀行の1000万人分の顧客情報を本人に無断で保険販売に不正利用していた件などが挙げられます。
今回の不適切点呼問題も含め、日本郵政の組織内におけるコンプライアンス意識と管理体制は一体どうなっているのかと、疑いたくなるばかりなのです。
このような不正を生み出す組織風土の根源には、まず何より組織の規模があまりにも大きすぎるという問題があるでしょう。日本郵政は郵便、郵便貯金、簡易保険の3事業を扱い、全国に約2万4000局の郵便局を持って、グループ企業を含めた従業員数は約20万人を超えています。
ただでさえ現場の隅々まで管理を行き届かせることが難しい巨大組織でありながら、現場では職員たちが少人数体制下で、郵便事業と金融事業という相互関連性の薄い複数業務を扱っています。この現実を踏まえれば、現場管理が粗雑なものになってしまうのはある意味でやむを得ないとさえ思えるのです。
日本郵政の元凶は「多すぎる郵便局」と考える、これだけの理由
日本郵政の「謝罪キャンペーン」が、新たな不祥事の呼び水になると考える理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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