経理・財務・税務部門では業務が拡大する一方で、テクノロジーへの対応不足や人材不足が大きな課題となっている。ITリスクに関するコンサルティングを手掛けるデロイト トーマツ リスクアドバイザリーが実施した2025年度版「経理・財務・税務部門の課題調査」で、4割に迫る企業が、DXや人材確保に課題を抱いていることが明らかになった。
テクノロジーを駆使する競争相手の台頭や環境規制への対応、過熱する関税戦争など、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化している。不確実性が高まる状況の中、経理・財務・税務部門はさまざまな課題を抱えており、経営を支える役割を十分に果たしきれていない実態が見えてきた。
経理・財務・税務部門全体における重要な経営課題について聞くと、「DX・AI活用」(38.8%)と「人材育成・人材確保」(35.7%)が上位を占めた。
人材不足の理由については、「スキル人材の採用ができない」(45.5%)、「専門人材が少ない」(37.4%)が上位に。単なる人材不足ではなく、高度なスキルを持つ人材の確保が困難になっているようだ。
「退職者が多い」と回答した人は40.3%と、人材の流動性の高まりが課題を深刻化させていることがうかがえる。
人材不足の解決策については、「ポテンシャル層を採用し育成する」(41.6%)が最も多く、「経験者採用を強化する」(40.1%)が続いた。一方「自社業務の外部委託」(10.9%)や「同業他社との協力」(8.7%)など、外部との連携による打開策は少数にとどまっている。
どの役職クラスの社内人材が不足しているかについては、「中堅スタッフ」が60.9%に上った。将来の課長・部長クラスを担う存在であるだけに、中堅層の不足は、経理・財務・税務人材の枯渇にもつながりかねない。
優秀な人材の獲得競争が激しさを増す中、魅力的な教育制度の整備は、採用や人材定着のカギを握る。同社は、AIなどのテクノロジーを活用した業務効率化や外部委託、他社との協業による採用・育成といった、より踏み込んだ取り組みが必要だと指摘している。
調査は、日本企業の経理・財務・税務部門従事者1032人を対象にインターネットで実施した。期間は3月28日〜4月1日。
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