フードデリバリー業界の停滞については、複数の要因が指摘されている。
まずは「コロナ特需」の終焉(しゅうえん)だ。2020年〜21年にかけてのコロナ特需は、フードデリバリー市場を大きく広げた。感染症対策の一環として、外食を控え、自宅での食事が主流になったことで、フードデリバリーの需要が一気に拡大したのだ。しかし2022年以降、行動制限が緩和され、街に人が戻るにつれて、その需要は急激に落ち込んだ。これは注文数やアクティブユーザー数の減少に顕著に表れている。
そもそもコロナ禍が特殊であり、フードデリバリー自体に大した需要がなかったと見ることもできるだろう。
こうした需要の減退に拍車をかけたのが、この数年での物価高だ。個人店のみならず、チェーン店各社のメニューもじわじわと値段を上げている。それに伴い、消費意欲が減退。特にデリバリーメニューはイートインよりも高い値段に設定されており、そこに配達人件費も加わるため、割高になりがちだ。
例えば、マクドナルドは今年3月に価格の改定を行っており、ビッグマックのデリバリー価格は650円から690円に値上げされた。店内価格は480円〜であるため、200円ほど高いことになる。配達手数料もかかるため、ビッグマック1つで1000円以上かかる計算だ。
また、ビッグマックのみを注文するケースはまれであり、ドリンクやポテトも注文すると、1500円近い値段となる。そのため、「気軽に注文しよう」とはなりにくいのが現状だ。
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