都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希氏が、現代のビジネスシーンを深く掘り下げる。都市再開発の成功例や課題、企業戦略の変化、消費者文化の進化に注目し、表面的な現象だけでなく、その背後にある背景を探る。日々変化する消費トレンドを通じて、社会や企業の動きに迫り、これからのビジネス環境や戦略について考えさせられる視点を提供していく。
「ウーバーで注文をしようと思ったら、配達エリア外だった」
先日、地方に住む友人にこんなことを言われた。彼の住む街は人口10万人弱。ファストフード店や郊外型の大型ショッピングセンターがあるが、ウーバーイーツや出前館で注文できる飲食店は限られている。
筆者も東京と香川県丸亀市の二拠点生活をしており、丸亀市の郊外ではフードデリバリーが使えないことも多い。筆者の自宅は駅から4キロメートルほどで、そこまで田舎ではないが、フードデリバリーの配達外の地域となっている。
東京であればフードデリバリーは使いやすいのだが、筆者が使いたいと感じるのは、むしろ丸亀市にいるときだ。徒歩ですぐに行けるレストランがなく、車に乗るのも面倒なことがあるからである。
コロナ禍以後、都市部では当たり前のように使われているフードデリバリー。しかし、地方ではあまり機能していないのが現状だ。これは現在のフードデリバリー業界が抱える矛盾と限界を象徴していると感じる。
新型コロナのパンデミック期に急成長したウーバーイーツや出前館は、当時の社会にとっては必要不可欠な存在だった。しかし現在、フードデリバリー業界は明らかに岐路に立たされている。
本稿では、フードデリバリー業界が抱える問題について探っていきたい。
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