レジャー施設、値上げラッシュ 2025年は71施設、前年比1.9倍に

» 2025年08月04日 07時00分 公開

 帝国データバンクの調査によると、2025年に入場料の値上げを発表した国内主要レジャー施設は71施設で、2024年の37施設から1.9倍に増加した。2023年以降の調査で最多となり、特に「テーマパーク(遊園地を含む)」では、対象100施設中51施設がフリーパスを含めたチケット代を値上げし、調査開始以降初めて値上げ施設が全体の半数を超えた。

photo 帝国データバンクは、全国の主なレジャー施設におけるチケット料金動向について調査・分析を行った(出所:photoAC)
photo 主要レジャー施設 チケット料金値上げ傾向(出所:プレスリリース、以下同)

 国内のテーマパークや水族館、動物園など主要レジャー施設192カ所のうち、2025年に入場料などの「チケット料金」を値上げするのは71施設(37.4%)だった。「水族館」「動物園」(各10施設)でも、いずれも前年から値上げ施設数が増加している。

 価格改定前後のチケット料金をみると、チケット種別や施設ジャンルによって傾向に差があった。2025年のレジャー施設全体における「一般券(入場料)」の平均価格(大人1名)は1695円で、2024年平均の1626円から69円(4.2%)上昇した。2022年から2023年にかけての価格差と同水準である。

photo チケット種類別

 一方、遊園地やテーマパークで多く導入されている、入場料とアトラクション乗り放題がセットになった「フリーパス」の平均価格(最高額)は4846円で、前年の4597円から249円(5.4%)増加し、全チケット種別の中で最も高額となった。繁忙期や土日祝日などに料金を変動させる「変動料金制(ダイナミックプライシング)」の導入も進み、フリーパス料金は5000円に迫っている。

 また、一般的な入場料とフリーパスの平均価格差は、2022年の2571円(2.7倍)から2025年には3151円(2.9倍)に拡大し、チケット種別間の価格格差も広がっている。

photo 「フリーパス」の平均価格(最高額)は5000円に迫る

 帝国データバンクは、「値上げが『モノ』から『サービス』へ波及し、花火大会などのコト消費にも『一部有料化』や『プレミアム化(高額化)』の動きが急速に広がっている」と指摘する。背景には、電気代や人件費といった運営コストの高騰や、変動料金制の導入・拡大、待ち時間を短縮する追加料金パスの導入など、さまざまな要因がある。

 一方で、「若年層における高額な価格設定への来園意欲の減退や、価格に対する期待値とのギャップにより、コアなファンや既存顧客のリピート率が低下する動きもみられる。チケット値上げを軸とした収益確保には、価格に見合う価値の提供が重要となる」とも分析している。

 調査対象は全国の主なレジャー施設(遊園地・テーマパーク・動物園・水族館)計192カ所。一般券(入場料)は、施設に入場するための金額とし、フリーパスは入場料に加え、別に設定される1Dayパス料金または回数券料金(入場料が未設定の場合)を指す。

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