キリンビールが手掛けたプロジェクト「人生を共に生きるウイスキー」は、3年後、7年後といった節目ごとに50ミリリットルのミニサンプルが2本ずつ届き、20年後にはフルボトルのウイスキーが1本届く仕組みです。これだけ聞くと「国産ウイスキーが高騰しているとはいえ、11万円は高すぎるのでは?」と感じるかもしれません。ここで重要なのが「顧客価値」という考え方です。
このプロジェクトは、キリンビールの小島亨介氏に子どもが生まれたことをきっかけにスタートしました。
「愛する子どものために精一杯頑張る。そんなかけがえのない時間を、何らかの形で残したい」――そう考えた小島氏は、同じ思いを持つ子育て世代へのヒアリングを重ねました。ヒアリングの中で出会った、ある家庭の『家の柱』のエピソードが、プロジェクトの具体化につながる大きなヒントとなりました。
その家庭では、家の柱に子どもの身長の記録を刻んでいました。しかも新居への引っ越しすることになった時、家族の思い出が詰まったその柱をどうしても手放せず、取り外して新居で再び使うことにしたのです。
「家族で過ごした時間や思い出を、形として残すこと。これと同じことを、ウイスキーで再現できないだろうか」
そう考え、小島氏はプロジェクトの具体化に踏み出しました。
一方で「このご時世に、ウイスキーに11万円も払ってくれる人がいるのだろうか」という不安もありました。会社として販売する以上、一定以上のニーズがなければ事業として成立しません。
そこでキリンビールが実施したのが、100人以上の親へのインタビューでした。
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