東京商工リサーチが実施したビジネス・シティホテル「客室単価・稼働率」に関する調査で、ホテルを運営する上場13社(15ブランド)の2025年3月期における客室単価が前年同期を上回り、稼働率も前年並みの高水準を維持していることが分かった。インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、高稼働・高単価の傾向が続いている。
13社15ブランドの平均客室単価は前年同期比12.6%増の1万6679円で、コロナ禍で最安値だった2021年同期(7755円)から2倍以上に上昇した。2025年3月期の稼働率は15ブランド全てで70%を超え、このうち9ブランドは80%以上を記録するなど、堅調な推移となっている。
客室単価の上昇率は、「10%以上15%未満」が最多の9ブランド。「10%未満」が3ブランド、「15%以上20%未満」が2ブランドと続いた。最も上昇率が高かったのは、東急不動産ホールディングスが展開する「東急ステイ」で、前年比20.4%の上昇であった。
コロナ禍前と比較可能なビジネスホテル8ブランドの稼働率を調べたところ、最低は2021年3月期の45.8%で、同年の平均客室単価も最安の6180円であった。コロナ禍に伴う外出規制の影響で宿泊機会が大幅に減少し、ホテル側が価格を抑えて営業を継続したことで、客室単価は一時的に低下した。
新型コロナが5類に移行した2023年5月以降、ホテル需要は徐々に回復。2024年の平均客室単価は1万円を超え、平均稼働率も8割に達した。さらに2025年同期には平均単価が1万3930円となり、2021年同期比で7750円の上昇となった。平均稼働率は前年からほぼ横ばいで推移している。
観光庁の「インバウンド消費動向調査」によると、2024年4〜6月期の訪日外国人による旅行消費額は2兆5250億円と、前年同期比18.0%増加し、インバウンド消費の好調が続いている。
一方で、東京商工リサーチは「人件費やエネルギーコストなどのコスト増は無視できず、人材確保や賃金見直し、従業員の定着率向上などの課題が山積しており、深刻化する人手不足への早急な対応が必要である」と指摘する。
さらに「夏休みを迎え、国内旅行の動きも活発化している。円安を背景に訪日外国人も過去最高を更新する勢いで増加しており、上昇を続ける客室単価と旺盛な需要の狭間で、ホテル客室を巡る熾烈な争奪戦が続きそうだ」と分析している。
本調査は、国内の上場ホテル運営会社13社の客室単価と稼働率を対象に実施したもので、2025年4月に続く6回目の調査となる。稼働率と客室単価は各社の開示資料をもとに集計した。ただし、12月決算の企業については2025年1〜3月期の公表値を用いた。
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