総務省の2024年家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は月平均で30万243円で、物価変動の影響を除いた実質ベースでは前年比1.1%減少した。消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は28.3%で、1981年以来43年ぶりの高水準となっている。
このように物価上昇にあえぐ日本人にとって、焼きそばやパスタのように単体でも、野菜炒めのようにおかずとしても使えるビーフンが「庶民の強い味方」として重宝されることは言うまでもない。
実際、SNSでは焼きビーフン、蒸しビーフン以外にも、野菜炒めや中華風サラダなどのアイデアレシピがあふれている。しかも、ビーフンはスーパーでも1食100〜150円程度で売られており、他の麺類と比べても割安だ。
こうした庶民に支持される理由のほかに、ビーフン人気にはもう一つ大きな要因がある。それは「ビーフン食文化圏からの在留外国人が増えている」ということだ。
法務省によれば、2024年末時点の在留外国人数は376万8977人(2023年末比10.5%増)で過去最高となっている。内訳を見ると、やはり中国人が約87万人と多いのだが、急増しているのがベトナム人(約63万人)、フィリピン人(約34万人)、ネパール人(約23万人)、インドネシア人(約19万人)、ミャンマー人(約13万人)。これは全て「ビーフン料理」の人気が高い国の人たちなのだ。
当たり前だが、異国で暮らしていると「故郷の味」が恋しくなるのは万国共通だ。つまり日本でここまでビーフン人気が高まっているのは、ビーフン食文化圏からの在留外国人の数が増えていることも影響している可能性があるのだ。
加えて、「インバウンド」の影響も無視できない。
中国人観光客が多いのは今さら説明の必要もないだろうが、近年はビーフン食文化圏からの観光客も急増している。
日本政府観光局(JNTO)によれば、2024年の訪日台湾人数は604万4400人で過去最多。ASEANからの観光客も右肩上がりで増え、トップはタイで114万8900人、ベトナムは62万1173人でどちらも過去最多である。
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