これだけビーフン文化圏の人々が日本のホテルに押し寄せているわけだから当然、ビュッフェを企画するホテル側は彼らが食べやすく、コスパのいい料理も用意している。外国人観光客側も連日のように日本食を食べていると、われわれが海外旅行中に「ああ、みそ汁が飲みたい」となるように、「そろそろビーフンが食べたくなる」と感じる人もいるはずなのだ。
これまで「○○人気が高まっている」「○○が大ヒット」という経済ニュースが流れると、われわれは日本人の消費者動向だけでその背景を分析してきた。最近のファミリー層はこんなものを求めている、若者はこんなものから離れている……などと語られている。
しかし、もはやそういう時代は終わった。既に在留外国人が350万人もいて、一時的とはいえ、日本国内で消費をする外国人観光客が年間3700万人もいる。迷惑だ、出ていけという人もいるが、彼らが落とすお金で経済が回っている現実もある。
自分たちの国なのだから「日本人ファースト」でいたい気持ちは痛いほど分かるが、経済活動においては日本人だけでは成り立たなくなっているのだ。
最近のビーフン人気は、そんなシビアな日本の現実をわれわれに教えてくれているのかもしれない。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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