パーソルグループのシンクタンク、パーソル総合研究所(東京都江東区)は、「新卒就活の変化に関する定量調査」の結果を発表した。学生が「就活で重視していること」として、2019年から2025年にかけて最もポイントを下げたのは「やりたい仕事ができること」だった。一方で、「勤務時間・勤務場所など、働き方が柔軟に選べること」は大きく上昇し、学生の価値観の変化が鮮明になった。
学生が「就活で重視する項目」について、8項目を10点満点で配点させたところ、最多は「仕事とプライベートが両立できること」(2019年2.10ポイント → 2025年2.20ポイント)で、順位は前回と同じだった。下落が最も大きかったのは「やりたい仕事ができること」、上昇したのは「働き方の柔軟性」に関する項目だった。
キャリア意識にも変化がみられた。「テレワークや在宅勤務など、勤務場所に融通がきく職場で働きたい」(128.6%)や、「働くことはお金を得るための手段にすぎない」(117.1%)といった実利的な意識が上昇。一方、「仕事を通じて成長したい」(91.1%)は最も大きく低下した。
パーソル総合研究所の小林祐児主席研究員は、「近年の就活生は内発的動機づけが希薄となり、就活への態度も消極的に変化してきた」と指摘。そのうえで「生成AIの普及で志望動機や自己PRの形式的なやり取りは有効性を失いつつある。今後は『見極める』から『巻き込む』へ、企業と学生が内発的な動機を共に見出していく採用プロセスが求められる」と分析した。
企業側が採用した人材に感じる変化では、「リモートワークのスキル・知識」「デジタルスキル・知識」「データリテラシー・分析力」などが2020年比で上昇した。一方で、「起業家精神」「積極性」「リーダーシップ経験」は減少傾向にあった。
近年の採用活動に関しては、企業の47.4%が「工数・負荷が増加」と回答。内定辞退の増加も38.0%と多く、採用の難しさがうかがえる。
「必要な人材を質・量ともに採用できていない」と回答した企業は全体で38.3%。なかでも従業員数500人未満の中小企業では50.8%に上り、「人材の質」に課題を感じている企業が多い実態が明らかとなった。
パーソル総合研究所は、「コロナ禍や生成AIの普及といった環境変化が、学生のキャリア観や就職行動に大きな影響を与えている」と分析。就職活動の通年化が進む一方で、仕事への成長意欲が低下し、結果として内定辞退や採用工数の増加など企業側の課題にもつながっていると指摘した。
同社は「売り手市場の加速により、企業間の人材獲得競争は一層激しくなる」としている。
調査は「新卒就活の変化に関する定量調査」(2025年2月22日〜3月3日、18〜29歳の学生・社会人1700人対象)と、「新卒担当者向け調査」(同年2月22〜25日、企業の採用担当者300人対象)をもとに実施された。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
仕事のミスを隠そうとする部下、掛けるべき「一言」
宮古島“観光バブル”の代償──倍増した家賃、住めなくなる地元民……変わりゆく現実
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング