小規模企業向け会計サービスを提供するエフアンドエム(大阪府吹田市)は、同社クラブ会員企業を対象に実施した「中小企業の昇給予定実態調査(2025年度)」の結果を公表した。それによると、正社員に対して昇給を「実施する、または実施した(全体または一部)」と回答した企業は78.0%に上り、2023年度の前回調査(76.0%)から微増した。
このうち、「全社員に対して実施した」と答えた企業は53.5%、「一部社員のみ」が24.5%だった。
昇給率の分布では、「2〜3%未満」が最多で26.3%を占め、これが全体の中心的な水準となった。加えて、「1〜2%未満」「3〜4%未満」を含む「1〜4%未満」の範囲が全体の約7割を占めており、業種や地域を問わず、堅実かつ継続的な昇給が主流となっていることがうかがえる。
月給ベースの昇給金額では、「5000円〜1万円未満」が最多で30.7%。業種別では、「医療・福祉」分野で3000円未満の割合が高く、対照的に「不動産業」では1万円以上が4割を超えるなど、業種ごとに昇給額の設計に明確な差が見られた。
一方、パート・アルバイトに対する昇給については、制度の整備が進んでいない企業が多かった。「昇給を実施しない」と回答した企業が約4割を占める一方で、「最低賃金の引き上げに合わせて対応する」といった、制度外での柔軟な対応を取る企業もあった。
昇給率の分布では、「1〜2%未満」が最も多く、「1〜5%未満」のゾーンで全体の約7割を占めた。制度の有無や運用方法には企業ごとの差が大きく、地域別に見ると、北海道・東北エリアでは「5%以上」の昇給率が18.6%(うち10%以上が3.9%)に達した。地方圏では最低賃金の改定や人材不足といった地域特有の要因により、高い昇給圧力が働いている実態が浮き彫りとなった。
エフアンドエムは、「特に人材確保競争が激化する中では、定期的な昇給制度の明文化と、非正規雇用を含めた人事制度全体の再設計によって、採用・定着における訴求力を高めることが不可欠だ。持続的な競争力を保つための『制度としての昇給』は、今後の中小企業経営における要となるだろう」と分析している。
今回の調査は、エフアンドエムクラブ会員企業を対象に2025年3月1〜31日に実施。有効回答数は2823社だった。
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