前編では、博報堂メディア環境研究所が行った「グローバルメディアテック調査」を通じて、AIはパーソナライズされた情報提供ツールの域を越え、人々に寄り添い感情を分かち合うパートナーメディアへと変貌を遂げつつある様が見えてきた。
そのような中で、企業は生活者とAIの間にどのように入り込み、自社の存在感を高めていけばよいのだろうか。今、自社コンテンツを“AIに選んでもらうため”の対策について、熱い視線が注がれている。
「AIO」(Artificial Intelligence Optimization:人工知能最適化)、「GEO」(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)、「LLMO」(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)など呼ばれ方はさまざまあるが、企業はAIに自社のコンテンツやブランドをどう認識させて推奨してもらうのか、必死で模索している最中である。
AI時代のSEO対策の在り方について「これまでのSEO対策と変わらない」とする意見も多いが、実際のところどうなのだろうか。博報堂メディア環境研究所は、米国、中国、イスラエルのAI専門家にインタビューをし、その結果を紹介した。
この記事は博報堂メディア環境研究所が実施したフォーラム「AI as Media〜メディアとしてのAI〜」の内容を基に、前後編で紹介する。
「AI時代、これまでの『メディア』の概念を捉え直さなければならない。AIメディアとは、『ユーザーの求める情報の受信者』であり、『ユーザーのための情報の発信者』であり、『ユーザーのための情報の生成者』でもある。今後5年間で、生活者にとって大きな情報の入口になるだろう」
「検索エンジン大手がAIへシフトし始めた。AI検索への変化は、もはや議論の余地がない。AIにどんな質問をしたときに自社が有利/不利になるのか? Web上のどのコンテンツが自社に貢献しているのか? まずは生成AIにおける自社のポジションを解像度高く把握して行動すべきだ」
「多くのブランドがWebページの改修でAIに対応できると思っているが、そのような小手先の対応では長続きしない。企業は検索エンジンへのコンテンツ提供者ではなく、“AIモデルへの高品質なデータ提供者”になるべきだ。私たちはChatGPTのようなAIエージェントは、整理されて素早く情報が手に入るデータを優先すると考えている」
AIにとっての高品質なデータとは、「構造化データ」と「非構造化データ」にきちんと分けられ、話し言葉でAIが出力しやすいように整理されたものだという。構造化データとは、製品スペック、素材や価格、効果効能、エビデンスデータなどの一定形式で整理された情報、非構造化データは生活者の口コミや感想、ユースケース、使い方の工夫といった自由な形式の情報を指す。
FAQ形式で整理しておくのも一般論として有効だという。さらに言えば、これらのAI向けに用意したデータは、サブドメインで切り分けた場所(例えば「ai.hakuhodo.com」といったもの)に保管しておくとなおよいとする。そうすることで、AIは「ここにとても整理されて読みやすい情報があるぞ」と認識し、優先的に読み込むようになるわけだ。
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