企業のサステナビリティの取り組み、生活者に「自分の話」にしてもらう方法は? JERA・味の素の事例で解説(2/4 ページ)

» 2025年08月21日 06時00分 公開

生活者参加型アクションの創出 味の素の事例

舟橋: 私からは、味の素で実践された生活者参加型フードロス削減プロジェクト「TOO GOOD TO WASTE〜捨てたもんじゃない!」アクションをご紹介します。

 このプログラムは、企業が一方的にフードロス削減の取り組みを情報公開するのではなく、食の情報サイトをプラットフォームとして生活者と継続的につながり、家庭内のフードロス削減にむけてのアイデアを生み出す、いわば社会価値共創型のプロジェクトです。

 社会主語による社会課題解決を実現するブランディング時代、パーパスが重視され、生活者が参加できる体験サービス起点のアプローチが求められています。

 そのアプローチ自体も一方通行型ではなく、アジャイルに共創プラットフォームで生活者と企業がともに実践する形に変化をしていきます。まさに、生活者とブランドの関係性が、フードロス削減アクションへの“参加する・表明する・応援する”という形にシフトしています。

社会主語による社会課題解決を実現するブランディング時代に

 今回ご紹介する味の素のケースも、企業と社会が共創する、社会課題解決型ブランディングを実践した例です。

 フードロス削減は、企業が単独で解決できるような社会課題ではなく、食品製造業や外食産業はもとより、生活者が一緒になって取り組まなければならない課題です。

 味の素では、「捨てたもんじゃない!〜TOO GOOD TO WASTE」というスローガンを社会に掲げて、 “今まで捨てていたものにこそ素晴らしい価値がある” という価値観のもと、生活者やさまざまなステークホルダーとともにフードロス削減を実践するアクションを推進しました。

 こちらは、企業バリューチェーン全体にサステナビリティをインストールするという方針のもとで策定した、サステナブルブランディングの全体設計図です。右側(赤の部分)の味の素の企業活動と、左側(緑の部分)の社会・生活者側の取り組みを循環型サイクルでつなぐことで、フードロス削減の取り組みを持続可能な形にデザインしました。

 特に、生活者のアクションを導く施策として、全国47都道府県の「捨てたもんじゃない!」グルメを開発し、生活者が、義務的ではなく、楽しくやってみたくなる=ファン・エシカルなインサイトを刺激するポジティブなフードロス削減の食習慣を拡げました。

 さらに、社会全体で取り組む共創アクション成果=フードロス削減を「デカボスコア」として数値化することで、より実効力のある循環型サステナブルブランディングを推進した事例です。

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