助成金や補助金と同様に注意しなければならないのは、障害者の法定雇用率を確保するための障害者ビジネスです。法定雇用率とは、事業主が常時雇用している労働者のうち、障害者を雇用しなければならない一定の割合のこと。全ての企業に、法定雇用率以上の障害者を雇用することが義務付けられています。
障害者の法定雇用率は、2024年に2.3%から2.5%となり、2026年には2.7%に引き上げられます。常時100人以上の企業が法定雇用率に達しなかった場合は、障害者雇用納付金を支払わなければなりません。
企業側としては、障害者を雇用して支払いを避けたいところですが、障害者を雇用する際には周囲のサポートや、バリアフリー設備といったハード面での改修が必要となる企業も。「そうした余裕はないが、障害者雇用給付金を払いたくない」という企業にとって助け舟となるのが、障害者雇用ビジネスと呼ばれる障害者雇用の代行業者です。
障害者雇用ビジネスは、障害者を雇用した企業の職場で働かせるのではなく、障害者雇用代行業者が所有する作業場や農園などで働いてもらい、雇用企業から管理費などの名目で費用を請求するビジネスモデルです。障害者雇用納付金を支払いたくないが、障害者を雇用する余裕やノウハウがない企業の思惑と一致するものです。
そもそも、障害者雇用代行ビジネス業者を利用することは、違法ではありません。助成金や補助金の申請代行業者と同様、真面目に取り組んでいる業者が多い一方、一部ですが営利目的を重視している業者もいます。
「採算がとれなくなった」という理由で障害者が働いていた事業所を閉鎖したため、大量の解雇者が発生したケースがあります。また「事務系の仕事ができると考えていたが、実際は農園で単純作業をさせられている」といった不満や訴えが、障害者から労働基準監督署へ寄せられたこともあります。
【法改正】10月から「育児・介護休業法」が変わる 企業がすべき対策は? 社労士が解説
リファラル採用で紹介者に「報酬100万円」はアリ? 法律違反を避けるための要点
「1on1をすれば大丈夫」は間違い 若手の心理的安全性を高める“3つの説明”
「公益通報」と「ハラスメント」、企業は相談窓口を分けるべき 線引きの理由を解説Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング