マクドナルドの「ハッピーセット」が岐路に立たされている。
2025年に入り、ハッピーセットのおまけに人気キャラクター「ちいかわ」や「ポケモンカード(ポケカ)」を投入したところ、いわゆる転売ヤーの標的となった。販売初日から混雑が発生し、各地で早々に品切れとなった。5月の「ちいかわ」第1弾・第2弾は予定より早く販売終了に追い込まれ、第3弾の追加販売も中止された。
8月に起きたポケカ騒動もその延長線上にある。フリマアプリでは“おまけ”のカードや玩具が高値で転売され、SNSには「買えなかった」「転売屋の餌食だ」といった不満の声があふれた。特にポケカ騒動では、店舗周辺や店内に未開封の食事が捨てられる様子が拡散し、食品ロス問題が海外メディアにまで報じられる事態に発展した。
火に油を注いだのは、企業側の謝罪と対策表明が後手に回ったことだ。日本マクドナルドホールディングスは8月11日付で公式サイトでの「大量購入や食品の放置・廃棄が発生した」と認め、再発防止策に取り組むと発表した。しかし混乱は収まらず、8月29日には予定していた「ワンピース」カード付きハッピーセットの販売中止を余儀なくされた。
世論が批判一色でも、日本マクドナルドホールディングスの株価はうなぎ登りだ。投資家が短期的な売り上げを押上げる効果を期待したためだ。実際、8月11日の謝罪リリース公表後に株価は上昇を加速させていった。
一方で国は食品ロス削減を重要政策に据える。消費者庁も8月21日、日本マクドナルドに対し「食品ロスにつながらない販売方法」などの改善を要望した。それにもかかわらず、株式市場はマクドナルドを「買い」と判断した。ESG投資の重要性が叫ばれている中、日本マクドナルドホールディングスの株価が上昇する現実は、資本主義のジレンマともいえる。
ただし、ハッピーセットが今後も転売ヤーの標的になれば、中長期的にはブランド毀損(きそん)や売り上げへの悪影響は避けられないだろう。
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