猛暑は東京の家計消費支出に、どのような影響を与えているのか。帝国データバンクが試算した。
平均最高気温が平年通りだった場合と比較して、東京の家計消費支出が約772億2300万円増加する可能性があることが分かった。
支出が増加した項目をみると、食料は弁当など火を使わない調理食品が増加。飲料は炭酸飲料(約17億円増)や茶飲料(約15億円増)、チューハイ・カクテル(約10億円増)、発泡酒やビール(いずれも約9億円増)などが大幅に増加した。菓子類はアイスクリーム・シャーベットが、外食では喫茶代などが増加。食料全体で約192億2800万円の増加となった。
家具・家事用品ではエアコンなど冷房器具への支出が増え、住居では設備補修費が増加要因となった。また、教養娯楽は宿泊料やパック旅行費を中心に約197億1500万円増加、保健医療は熱中症対策など医療サービスを中心に支出が増加したとみられる。
支出が減少した項目をみると、気温上昇による漁獲量の減少で価格の上昇を受けた魚介類や、生育不足が表れた生鮮野菜のほか、調理場でのガス使用の抑制によりガス代が大きく減少。また、猛暑による外出機会の減少などにより、女性用のシャツ・セーター類や和服などを含む被服への支出が減少した。
世帯当たりの支出額では7月に2687円、8月に4337円の増加が見込まれ、今夏は猛暑によって月平均3512円の支出増と試算した。
東京都は、都民がエアコンなどの利用を控えないよう水道の基本料金を無償化するなど、物価上昇が続くなかで猛暑対策を進めている。しかし、実質賃金の低迷は家計の購買力をそぎ、節約志向を強める要因となった。
気温は9月以降も高めで推移する見通しだ。帝国データバンクは「2025年の飲食料品の値上げは2万品目に迫ると見込まれているが、家計の購買行動の変化が今後、企業の売り上げにどのような影響を与えることになるか、注視していく必要がある」とコメントした。
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