9月1日は「防災の日」。この日に合わせて、企業として事業継続計画、通称BCP(Business Continuity Plan)について改めて考えてみたい。
BCPと聞くと、地震や台風といった大規模災害への備えをイメージしがちだが、その本質は「予期せぬ事態が起こっても、事業を止めないこと」にある。そして、BCPにおいて中心的な役割を果たすのが、従業員の安全確保や社内外の連携を担う総務部だ。
今回は、突発的な自然災害への備えから、現代的な課題であるサイバーセキュリティ対策まで、総務がBCPにおいて果たすべき役割について掘り下げていこう。
BCPの第一歩は、物理的なリスクへの対応だ。総務の主な役割は、従業員の安全を守り、事業活動を継続できる環境を整えることである。地震や風水害に備え、オフィス内の家具や什器(じゅうき)は転倒・落下防止対策を施し、避難経路を確保しておくことが不可欠。また、災害時の安否確認システムの導入は、従業員一人一人の安全を迅速に確認するために重要だ。帰宅困難者に備えた防災備蓄品(食料、水、医薬品、簡易トイレなど)も、総務が責任を持って管理すべき項目となる。
近年は酷暑もBCPの対象となりつつある。熱中症は命に関わる健康被害を引き起こすため、空調設備の適切な管理や従業員への水分補給の呼びかけ、休憩スペースの確保など、酷暑を想定した対策も総務がリードすべきBCPの一環だ。
その上で、最も重要なのは、従業員一人一人が防災意識を持つことだ。総務は、全従業員向けの防災マニュアルを作成し、定期的に周知する必要がある。災害を想定した避難訓練や安否確認訓練を定期的に実施することで、有事の際の混乱を最小限に抑えられる。リモートワークが普及した今、災害時の緊急連絡網や安否確認フローを確立しておくことも、総務の重要な役割だ。
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