この記事は、『生成AI最速仕事術』(たてばやし淳著、かんき出版)に掲載された内容に、かんき出版による加筆と、ITmedia ビジネスオンラインによる編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
会議やプレゼンの資料に図解が入るだけでグッと完成度が高まりますが、作成するには手間ひまがかかるもの。『生成AI最速仕事術』の著者・たてばやし淳さんは、「生成AIを活用すれば、文章を入力するだけで瞬時にAIが内容を理解し、最適な図解を自動で提案してくれる」といいます。どのような生成AIを使い、どのような指示を出せばいいのでしょうか?
資料に図解を入れたいけど、どうやって図解にすればいいか分からない。デザインセンスがないから見栄えが悪くなってしまう……。そんなときは、「Napkin AI」を活用することで簡単に解決できます。文章を入力するだけで、AIが内容を理解し、最適な図解を自動で提案してくれます。
完成した図解は手動で編集もできる上、画像ファイルとしてコピーやダウンロードして、WordやPowerPointに直接貼り付けることも可能です。
Napkin AIは、ユーザーが文章やキーワードを入力するだけで、関係性や分類構造を読み取り、短時間で図を自動生成してくれるサービスです。
例えば、プロジェクトの段階や施策の実施順、因果関係などが文章に含まれていれば、それをベースにフローチャートやピラミッド図、マインドマップ風の構造が提示されます。生成速度は非常に速く、テキストを入力してから数秒後には複数のレイアウトが画面に並びます。
Napkin AIを使うときは、ブラウザから「https://www.napkin.ai/」にアクセスし、ログインするだけでスタートできます。特別なソフトをインストールする必要はありません。
まだアカウントを持っていない場合は、「Sign up」や「Create Account」といったボタンをクリックして、メールアドレスとパスワードを登録します。Googleアカウントを使えば、ワンクリックで簡単にログインできるオプションもあります。初回登録時に確認メールが届き、それを認証すると本登録完了です。
ログイン後は、何もない状態から新しい図解を作る「By pasting my text content(テキストを貼り付けて作成)」モードと、文章をAIに解釈させて自動的に図表を作ってもらう「By generating text using AI(AIでテキストを生成)」モードの2つを選べます。通常は前者から始めましょう。
Napkin AIに読み込ませる文章やキーワードリストをあらかじめ用意します。すでに資料がある場合は、その一部をコピペするだけでも構いません。
文章入力後に、青い稲妻アイコンが表示されます。これが「生成」ボタンの役割で、押すとNapkin AIが文章を解析して図解を生成してくれます。数秒ほどで複数のレイアウト候補が表示されるので、最もイメージに近いものを選択すると、詳細編集画面に進みます。
文章を入力し、生成ボタンを押すと、Napkin AIが解析を行い、いくつかのレイアウト案を提示します。フローチャート、円グラフ、五角形ベースの図、マインドマップなど、あらゆるビジュアル形式の候補が並ぶ場合もあります。
ここで複数のサムネイルが表示されるので、気になるものをクリックすると、キャンバス上に大きく展開されます。もし全てがイメージと合わなければ、文章を少し変えて再生成を試すか、違う案を選んでみるのがおすすめです。
このプレビュー段階で全体の雰囲気をつかんでおき、必要に応じて細部を修正していきます。
図を選んだ後は、編集モードで微調整が可能です。具体的には、以下のような編集機能が用意されています。
<テキストの修正>
ノード(テキストボックス)をクリックすると、中の文字をその場で書き換えられます。フローチャートのステップ名やキーフレーズが多少違っていても、あとから自由に直せます。フォントの大きさや色を変えることもボタン1つで対応できるため、文章の可読性や強調ポイントをコントロールしやすいです。
<アイコンの変更・追加>
ノードに付いているアイコンを変えたい場合は、アイコン部分をクリックしてアイコンライブラリから別のものを選びます。例えば、歯車のマークを人のシルエットに変えるとか、電球のマークに差し替えるなど、視覚的なインパクトを重視した編集が可能です。アイコンの検索機能もあるので、文章に合ったシンボルをすぐに見つけられます。
<配色やフォントスタイルのカスタマイズ>
画面上部やサイドバーに配置されているカラーパレットやフォント設定を使えば、企業イメージカラーに近い配色にしたり、読みやすいフォントに切り替えたりできます。複数のノードを一括で選択してスタイル変更することもできるため、全体の雰囲気を統一しやすいです。
<図形・要素の追加や削除>
もし生成直後の図に追加したい要素が出てきた場合は、既存のノードの近くに「+」アイコンが表示されていないか確認します。これをクリックするか、コンテキストメニューから「Add node(要素追加)」を選ぶと、新しいノードが挿入されます。逆に使わない要素があれば、そのノードを選択してDeleteキーや削除メニューを選んで消すことができます。
ここまで紹介してきた流れで図解が完成したら、最後は資料として配布・利用するためにダウンロードやエクスポートを行います。Napkin AI では、エクスポート先や形式を自由に選べるので、ビジネス用途では扱いやすいです。
<ファイル形式の選択>
Napkin AIのエクスポート機能では、主に以下の形式が用意されています。
ダウンロードボタンを押すと形式選択のメニューが出てくるので、使用シーンに合わせた形式を選びましょう。Napkin AIはベータ版ながら高解像度・高品質の出力に対応しており、作り込んだデザインをそのままビジネスの現場で使うことができます。
<PowerPointやWordへの貼り付け>
PNGやSVGやPowerPoint形式で出力したファイルをそのままドラッグ&ドロップすれば、スライドや文書に図解を載せられます。大事なのはレイアウトとの相性なので、資料全体のデザインテーマや他のページ構成にも配慮しながら配置すると良いでしょう。タイトルや説明文を図の周囲に加えて、より具体的な内容を伝えられるようにすると、プレゼンの説得力が増します。
<印刷資料やWeb資料への挿入>
PDFファイルにすれば、そのまま印刷用の資料として活用できます。A4サイズやレターサイズの紙であれば、ほとんどの場合、問題なく美しい仕上がりになります。SVGならWebページで拡大してもきれいに表示されるので、プロモーションサイトや社内Wikiでの掲載にもおすすめです。とくに、読み手が手元で拡大して細かい箇所をチェックするような場合は、ベクター形式のSVGのメリットは大きいです。
<共同編集や共有の活用>
Napkin AIは共有リンクを発行して、他のチームメンバーとリアルタイムでコラボレーションできる機能も備えています。権限設定を「閲覧のみ」「閲覧とコメント可能」「閲覧と編集可能」「閲覧と編集と共有可能」などに分けられるため、安全にチーム全体でアイデアを出し合える仕組みになっています。外部のクライアントともリンクを共有すれば、見せたい部分だけをオンライン上で確認してもらい、必要に応じて修正を加えるといった使い方も可能です。
資料に適切な図解が入るだけでグッと説得力と分かりやすさがアップします。ぜひAIを活用してください。
1986年生まれ、横浜育ち。オンライン動画でITスキルを教える人気講師。「多くの人に、仕事を自動化してラクにする方法を伝えたい」という想いから、Excelやマクロ、AI関連の書籍を執筆するなど発信活動を行う。YouTube総再生回数1300万回、チャンネル登録者数11万人超。また、オンライン動画教育プラットフォーム「Udemy」では22万人以上の受講者へ動画コースを展開している。
著書に『Excel×ChatGPTでビジネスが加速する! AI仕事術』(エクセル兄さん出版)、『学習と業務が加速する ChatGPTと学ぶExcel VBA&マクロ』(ソシム)、『Excel×Copilot AI仕事術』(日経BP)、『エクセル兄さんが教える世界一わかりやすいMOS教室』(PHP研究所)などがある。
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