不祥事相次ぐシャトレーゼ、過度な低コスト路線も一因? 近年の「一人勝ち」をあらためて振り返る(1/4 ページ)

» 2025年09月15日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 シャトレーゼの不祥事が相次いで発覚している。3月には下請法に違反したとして公正取引委員会が再発防止などを求める勧告を出した。下請け業者から仕入れるはずの商品を一部受け取らず、未払いのまま保管させたためだ。

 5月には出入国在留管理庁が改善命令を出した。外国人労働者に対して会社都合で休業させたにもかかわらず、給与や手当を支払っていなかったという。同じ5月には、2年前に違法な時間外労働をさせたという労働基準法違反の疑いで、甲府労働基準監督署がシャトレーゼと社員2人を書類送検した。

 むろん、こうした弱者への圧力は言語道断だが、不二家の閉店が続くなどスイーツ業界が苦戦しているにもかかわらず、シャトレーゼはこれまで店舗数を増やしてきた。国内外で1000店舗を超える一大チェーンを築き、逆風下で成長したシャトレーゼの強みを分析してみよう。

シャトレーゼの「一人勝ち」を分析する

この10年で大幅に成長したシャトレーゼ

 シャトレーゼは1954年に創業した和菓子店がルーツだ。当初は山梨・長野を中心にチェーン展開を図った。1960年代にアイスやシュークリームなどを発売し、その後フランチャイズによる洋菓子専門店を展開し始めた。問屋を介さずに工場から直送する店舗は1985年に開店した。コンビニと同じこの仕組みは、現在のシャトレーゼの主軸となっている。

 2000年代から成長が著しくなり、コロナ禍でも勢いは止まらず、2025年3月期の連結売上は1613億円となった。店舗数もこの10年で激増し、国内では2015年度末の461から、この6月時点で870になった。

 国内店舗は大半がフランチャイズであり、オーナーの多くは2〜3店舗を運営している。ロイヤリティはゼロで、工場からの卸売が本部の収入となる。海外では6月時点で7カ国に183店舗を展開する。

 シャトレーゼが好調の一方、競合は苦戦してきた。例えば不二家は10年ほどで店舗数が100ほど減少している。減少幅は小さいように見えるが、従来の路面店から食品スーパーの中に出店する形への切り替えを進めており、路面店は半減した。

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