業務用マッサージチェアの快進撃 破綻から甦った「あんま王」の歩み(1/3 ページ)

» 2025年09月15日 09時00分 公開
[産経新聞]
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 業務用に特化したマッサージチェアを開発したアイオイメディックホールディングス(HD、神奈川県藤沢市)が脚光を浴びている。性能や維持のしやすさが受け入れられ、温浴施設だけでなく商業施設やコインランドリー、新幹線待合室にも同社のマッサージチェアが設置されるなど、販路を広げている。一度は経営破綻し辛酸をなめたものの、再起をかけた業務用への挑戦が実を結び、2万台超を出荷するまでに復活を遂げている。

photo あんま王IVはフルフェースで周りの目が気にならない。身長190センチ、体重100キロまで対応可能=東京都港区 (佐藤克史撮影)

 注目されているのが2019年発売の現行機種「あんま王IV」だ。プライベート感を高めるため、座った際に周囲から顔が丸見えにならないようフルフェースの頭部カバーを装着。無重力感覚を味わってもらうようフルフラットを可能にし、コックピットのように全身を覆うような形状にもした。

 画期的なのが色。従来は汚れや傷を目立たせないため黒一色だったが白色を採用した。きっかけは、商業施設で「黒色だとやぼったく、景観に合わないといわれた」(城田充晴社長)ことだ。白モデルが転機となって空間の雰囲気も重視するホテルや商業施設からの引き合いが増え、今では黒モデルの出荷を上回る。

 差別化は豪華さを演出したデザインだけではない。業務用は不特定多数が高い頻度で使う。家庭用に比べて高い耐久性が求められることから、あんま王は家庭用一般機種の2.5倍の2500時間の耐久テストを実施。1万時間以上故障せずに利用できたケースもあるほど丈夫だ。

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