アプリ開発のきっかけは、写ルンですの現像時に、6割以上の利用者がデータでの受け取りを希望していたことだ。「より簡単にデータを受け取れ、かつアナログとしての価値を最大限に楽しめるサービスを提案できないかと考えた」と植松さんは振り返る。
ここ数年は、レトロブームで昭和時代のアイテム人気が再燃しているケースも目立つ。写ルンですもその流れの一環と見られがちだが、富士フイルムは違った見方をしている。
その根拠としたのは、同じくアナログ写真を楽しめる「チェキ」の好調さだ。1998年に発売されたチェキは、一時期売り上げが落ち込んだものの、2007年頃から17年以上にわたって成長を続けている。2023年度の売上高は1500億円を超え、2024年度には累計販売台数が1億台を突破した。
植松さんは「アナログの価値は、一時的なブームとして終わるとは捉えていない」と語る。デジタルネイティブ世代にとっては、アナログ体験が「新たな価値」として受け入れられているとし、チェキの17年以上にわたる成長が、その見方を裏付けているという考えだ。
加えて、グローバルでの人気拡大も追い風になっている。写ルンですは海外で「クイックスナップ」の名称で販売され、統括マネージャーの高井さんは「日本だけでなく世界各地で人気が高まっている」と説明する。同社は、チェキと写ルンですを重要事業として強化していく方針だ。
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