仕事観の変化やテクノロジーの進化によって、キャリアの「正解」は消滅した。複雑で高度化するビジネス環境で活躍し続けられる人材になるためには、市場の風を読み、自身でキャリアを作り上げていく必要がある。キャリアは一日にして成らず──シリコンバレー在住の石角友愛(パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー)とともに、自分なりの「正解」を考えていこう。
必要最低限の仕事だけをこなす働き方「静かな退職(Quiet Quitting)」を選択する人が増えています。しかしこれからのAI時代において、「静かな退職」はキャリアの選択肢として持続できるのでしょうか。
「静かな退職」は、会社を辞めずに必要最低限の業務だけをこなす働き方を指します。このような働き方は若者だけでなく、世代を超えて広がりを見せているようです。マイナビが実施した「正社員の静かな退職に関する調査2025」では、20〜50代の正社員のうち、約4割が「静かな退職を実践している」と回答しています。
筆者はこの現象を単なる従業員の怠慢ではなく、長時間労働や不透明な評価制度に対する社会的カウンターだと捉えています。静かな退職は従業員が積極的に選択したのではなく、消去法で行きついた結論ではないでしょうか。
静かな退職について、「燃え尽きを防ぐ」と評価する声もあります。しかし、個人のキャリア形成や組織の利益追求において、望ましい傾向であるとはいえません。また、AI活用が進む現在において、評価される労働スタイルであるかも疑問です。
「必要最低限で働く」という選択は、ウェルビーイングにおいて、一つの答えなのかもしれません。しかし、この選択はAI活用が前提となるこれからの社会や職場でも、同じ意味や効果を持つでしょうか?
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“静かな退職”は悪じゃない なぜ「日本人は休めない」のに「生産性が低い」のかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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