なぜ、スズキが「カレー」を開発したのか 発売2日で5000食が示す意味(1/4 ページ)

» 2025年09月24日 07時00分 公開

 自動車メーカーのスズキがレトルトカレーを発売し、話題を呼んでいる。6月25日の発売から2日で5000食を販売し、2カ月で7万5000食が売れた。1個918円と決して安くはないが、なぜこれほど消費者の心をつかんだのか。

 背景には、インド出身従業員への配慮から生まれた本格的な味づくりと、スズキならではのブランディングがあった。

photo スズキがレトルトカレーを発売(画像はスズキ提供、以下同)

 今回のレトルトカレーは、静岡県浜松市にある本社の社員食堂で、2024年1月から提供している本格的なインドベジタリアン料理がベースとなっている。インド出身の従業員が「母親の味」と表現する味を、同じ浜松市の老舗企業である鳥善がレトルトカレーにして「スズキ食堂」ブランドで販売している。

 ラインアップは、大根や人参、トゥール豆を使った南インドの煮込み料理「大根サンバル」、平たい形のレンズ豆とトマトを合わせた北インドの「トマトレンズダール」、皮付きの茶ひよこ豆を使った「茶ひよこ豆マサラ」、緑豆の皮をむいた黄ムング豆と小松菜を合わせた「青菜ムングダール」の4種類。

photo ラインアップは4種類。いずれもベジタリアン仕様

 辛さは4段階に設定し、インドの各地域の特色を反映した。パッケージには緑色のマークが印字されているが、これはインドなどで使用されるベジタリアン食を示す国際的なシンボルだ。動物性原料や乳製品を一切使用せず、本格的な味わいを追求している。

photo ベジタリアン食を示すマークを印字(筆者撮影)
photo 本格的な辛さを味わえる。画像は辛さ2の「トマトレンズダール」(筆者撮影)

 商品のパッケージデザインにも、スズキらしさを表現した。自社のデザイナーが、同社を代表する「ハヤブサ」「スイフト」「ジムニー」「V-STROM1050DE」といった車種のイラストを担当。側面を並べると隠し絵が現れる仕掛けも施し、「飾りたくなる」デザインとしても話題を集めた。

photo 4種を並べると隠し絵があらわれる
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