2025年7月にエヌビディアの時価総額が史上初めて4兆ドル(約600兆円)に達するなど、AIのニュースが絶えない。9月に話題となったのはオラクルだ。オラクルは2025年9月、2026年度の第1四半期の決算説明会を開催。受注残高が4550億ドル(約70兆円)、前年同期比359%となった。
創業者であるラリー・エリソン氏は、決算発表の場で「Eventually, AI will change everything.(やがてAIは全てを変える)」と発言。翌日には、同社の株価は前日比で35.9%上昇するなど高騰し、一時的ではあるが、エリソン氏の総資産額はイーロン・マスク氏を抜いて世界一となった。
一方、AI投資が話題になるたびに、「第2のITバブル」を懸念する声も出ている。ITバブルは「ドットコムバブル」とも呼ばれ、1999年頃から2001年にかけて、米ナスダックを中心にハイテク株が急騰と急落を繰り返した現象を指す。1995年に登場したマイクロソフトのWindows95に伴うPCの普及や、インターネットの利用者拡大などが追い風となり、投資が過熱した。
しかし、米国の政策金利の調整や2001年の同時多発テロに伴う経済不安などもあり、利益が上がらず、実需が伴わない多くの企業の資金繰りが厳しくなった。そして、破綻に追い込まれ、バブルが崩壊したのである。
現在はグーグルやマイクロソフトのようなAI開発を担う企業が注目を集める一方で、エヌビディアやオラクルが話題に上がるように、AIインフラ投資に重点が置かれている。これは光ファイバー網やネットワーク機器への投資が過熱したITバブルの状況に似ている。しかし、その投資が実を結ぶかどうかは、インフラの先に生まれるビジネス次第だ。
振り返ってみると、2000年前後は斬新なアイデアが数多くあったものの、それを実現し、育てるための技術が追い付いていなかった。その技術とは、通信速度といった性能面に関わるものもあれば、誰もが使えるようにするためのアクセシビリティーに関わるもの、さらにアプリケーションを開発するための基盤など、多岐にわたる。
当時は、今となっては当たり前になった5Gのようなモバイル高速通信はもちろん、スマートフォンやクラウドも存在しなかった。これらの技術が整備されたことで、1人1台コンピュータを持ち、常にネットワークに接続し、その恩恵を受けられるようになった。まさに、かつて描かれた、いつでもどこでもコンピュータを使うことができる“ユビキタスコンピューティング”が現実のものとなったのである。
蒸気機関や電気のように、経済に大きな影響を与え、社会を変えた技術は“汎用技術”と呼ばれ、コンピュータやインターネットもその1つに数えられる。現在のAIへの投資も汎用技術への進化と捉え直せば、“別の側面”が見えてくる。本稿では、今後のAIの進化の方向性や、投資の評価基準について考えてみたい。
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