管理職の半数が「フィードバックに迷い」 新任ほど“嫌われ恐怖”強く

[サトウナナミ，ITmedia]

　部下育成の中でも特に難しいとされている「評価」。組織開発などを支援するALL DIFFERENT（東京都千代田区）によると、管理職の半数が部下へのフィードバックにためらいを感じている。その理由とは？　同社が提供する管理職向け研修の受講者531人を対象に調査した。

管理職の半数が部下へのフィードバックにためらいを感じている現状が明らかに。写真はイメージ（ゲッティイメージズ）

管理職が「部下の評価」に抱える悩みとは？

　管理職は、部下を評価する際にどのような課題を抱えているのか。

　最も多かったのは「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」で27.9％。「評価時、一人一人十分に時間を取れていない」（27.0％）、「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」（25.2％）と続いた。

評価者としての課題（ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ）

　評価者としての課題について、管理職のうち1〜3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか調査した。

　新任管理職では「評価の期間全体で評価せず、直近の部下の状況に引きずられてしまう」が28.8％で最も多かった。「部下に嫌われたくないために、厳しい評価から逃げている」は、他のステージよりも10ポイント以上高かった他、「会社の評価基準を十分に理解せず、評価している」（12.1％）は、他のステージより2倍以上高かった。

　ベテラン管理職では「評価時、一人一人十分に時間を取れていない」が最も多く27.9％。また、幹部候補では、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」が35.7％で最も多く、他のステージと比べて突出する結果に。ステージが上がるにつれて、チーム内での極端な評価を避ける傾向が強まると明らかになった。

【ステージ別】評価者としての課題（ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ）

55％が「フィードバックに躊躇」

　フィードバックすることについて、「躊躇したことがある」とした人は55.7％と半数以上を占めた。

　理由は「部下の反応に対して不安があるから」が最も多く54.2％。その他「適切な伝え方が分からなかったから」（34.7％）、「自分が本当に正しいか自信がなかったから」（28.9％）が上位となった。

フィードバックを躊躇した理由（ALL DIFFERENT株式会社、ラーニングイノベーション総合研究所調べ）

　部下へのフィードバックで躊躇した理由をステージ別・経年別に比較した。

　新任管理職では「部下の反応に対して不安があるから」が6割超となり、ベテラン管理職よりも14.5ポイント高い結果に。また「部下の反応に対して不安があるから」「自分が本当に正しいか自信がなかったから」は、他のステージと比較して最大の割合となった。

　ベテラン管理職、幹部候補においても「部下の反応に対して不安があるから」（ベテラン管理職：48.5％、幹部候補：54.9％）が最も多かった。また、幹部候補においては「適切な伝え方が分からなかったから」という回答が他のステージよりも多い傾向が見られた。

【ステージ別】フィードバックを躊躇した理由（ALL DIFFERENT、ラーニングイノベーション総合研究所調べ）

離職を防ぐための取り組みは？

　離職を防止するためにどのような取り組みをしているのか。全体としては「業務量の負荷の調整」「感謝やいたわりの言葉がけ」が多い傾向となった。一方で、ステージが上がるにつれて「期待や果たしてほしい役割の伝達」という回答が多くなり、幹部候補では41.8％と他ステージより10ポイント以上高い結果となった。

離職防止への取り組み（ALL DIFFERENT株式会社、ラーニングイノベーション総合研究所調べ）

　調査は5月20日〜7月17日にインターネットで実施した。