こうした接客を受けながら、ネイルアートを施してもらう時間は筆者にとってなくてはならないものだ。技術力と接客への対価だと考えれば、平均1万円の出費は決して高いとは感じていない。ただ、リクルートが運営する美容に関する調査研究機関「ホットペッパービューティーアカデミー」の調査によれば、1回の平均利用金額は6270円であり、高いと感じる人がいることも理解できる。
ネイルサロンの単価について、木下氏は「将来的には『ネイルケアで1万円をもらうべき』という状態までもっていきたいです」と話す。木下氏も実質賃金が上がらない中で難しいと話しつつも、「今のような高品質な日本のネイルを守るためにも、将来的には単価アップが目標だ」と話す。
単価を上げるには、何が必要か。「『ネイルサロンはこうあるべき』『このクオリティーは提供できるべき』というレギュレーションを徹底することが大切です」と木下氏。日本ネイリスト協会では、ネイルサロンの衛生や法令順守などのガイドラインを制定。ネイルサロンで扱う化学物質の管理や衛生管理の講習会も実施している。全国のネイリストにこうした知識を提供する体制を整え、ネイルサロン全体の質をさらに向上させている。
今回の取材を通して、日本のネイルサロンでは、高い技術だけでなく、きめ細やかなサービスも相まって、1回の施術の価値がしっかり伝わっていると感じた。こうした取り組みは、サロンの単価を支えるだけでなく、業界全体の質を底上げする力にもなるだろう。
DX最大の壁は「過去の成功」──花王が“必勝パターン”をあえて捨て、大ヒット商品を生み出せたワケ
「なぜ買わなかったか」も可視化 アットコスメ、AIで口コミ分析する新事業 美容特化の強みとは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング