浜松町駅の西側では、2027年に「世界貿易センタービルディング本館」の建て替えが完了予定だ。さらに、「東京モノレール浜松町駅ビル」も2029年の竣工を目指して工事が進められている。
一方、竹芝地区では2020年に「東京ポートシティ竹芝」や「ウォーターズ竹芝」が開業。浜松町駅や大門駅、竹芝駅、日の出駅の各駅前が一体となって高層ビル群へと姿を変えつつある。
竹芝客船ターミナルや日の出桟橋といった船便の拠点もあり、モノレールを利用すれば羽田空港へも20分前後でアクセス可能だ。多様な陸海空の交通手段が集積する浜松町は、その利便性が再評価され、オフィスだけでなく商業施設、ホテル、住宅の開発も進んでいる。旧芝離宮恩賜庭園や芝大神宮など、歴史あるスポットが点在しているのも魅力だ。
東京の再開発といえば、東京オリンピックに向けて大きく変貌した渋谷エリア、現在大規模な再開発が進む新宿西口エリア、そしてリニア新幹線開業を見据えて発展する品川エリアなどが注目されている。
その一方で、やや注目度は低いものの、革新と伝統が共存し、歩いていて楽しく、暮らしやすい街づくりという点では、浜松町エリアこそが最も魅力的な場所といえるかもしれない。
野村不動産グループは、これまでに目黒や亀戸の「プラウドタワー」など複数の街づくりの実績を持つが、ブルーフロント芝浦のような大規模再開発はほとんどない。
それだけに、「六本木ヒルズ」を手掛けた森ビル、丸の内や大阪・うめきたで再開発を進めてきた三菱地所、東京・日本橋や「ららぽーと」で知られる三井不動産、渋谷駅前の再開発を推進した東急グループといった先行企業との差別化を意識し、独自色を打ち出した施設づくりに力を注いだとみられる。
特にブルーフロント芝浦は、何よりも座ってゆっくりできるスペースが多い。今のところ、ランチタイム以外は空いているが、果たして各テナントは採算が取れるのか。野村不動産グループの集客の手腕が問われる。
今後、野村不動産グループが仕掛ける再開発がどのような展開を迎えるのか。ブルーフロント芝浦をはじめ、浜松町エリアの発展に注目したい。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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「中野サンプラザ 白紙化」の衝撃 なぜ再開発は止まったのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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