採用面接は、候補者と会社の最初のタッチポイントであり、会社のファンになってもらうための重要な機会だ。今回は「採用面接で面接官がやりがちなミスとその対策」について、営業・マーケティングノウハウを生かした独自メソッドで企業の目標達成を支援する、採用コンサルティング会社のアタックス・セールス・アソシエイツ取締役の酒井利昌さんに話を聞いた。酒井さんの著書には『いい人財が集まる会社の採用の思考法』(フォレスト出版)がある(2023年に増補改訂版を刊行)。
――面接する際に、「これは聞いてはいけない」という質問はありますか?
はい、明確にNGとされているものがあります。それは、家族構成や思想・信条(支持政党や宗教など)や健康状態といった、本人の適性や能力とは無関係なプライベートな質問です。法律や倫理の観点から、公正な採用を妨げるものとされているためです。
面接の質問は、あくまで「募集している職務を遂行できるか」を判断するためのものに限定すべきと心得ておくと良いでしょう。うっかり聞いてしまいがちなのが「愛読書は何ですか?」という質問です。書物は思想・信条につながりかねないものですから注意が必要です。
――心理的距離を近づけようとして、愛読書などを聞いてしまいがちですから気を付けたいところですね。ちなみに、多くの企業が聞く「志望動機」についてはどうですか。
聞くタイミングが非常に重要だと考えています。あくまで個人的な見解ではありますが、面接の序盤で聞くのは得策ではないかもしれません。初対面で志望動機を尋ねるのは、少し変わった例えですが、付き合い始めたばかりの相手に「なぜ私と結婚したいのですか?」と聞くのに近いというか。そんなことをいきなり聞かれたら困りますよね(笑)。
――では、どのタイミングが適切でしょうか?
候補者の方も、まだその会社のことを深く理解しているわけではありません。志望動機や入社意欲は、選考プロセスを通じて、こちらが情報を提供し対話を重ねることで醸成されていくものです。
ですから、最終面接など、お互いの理解が十分深まった段階で「ここまで話してきましたが、最終的に当社を選んでいただける理由を教えてください」と聞くのであれば、非常に意味のある質問になると思います。
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