――新卒採用などでは、毎年同じ質問を使いまわすこともあります。それに対する考えを聞かせてください。
一問一答形式の質問は、面接する相手からすれば対策を立てやすくなりますよ。とはいえ、聞きたいことは似通ってしまうので、質問の仕方が大事になります。面接はコミュニケーションの場なので、用意した質問を順番に聞いていくだけでは会話としても違和感があるのです。相手に合わせて柔軟に質問の順番や表現も変えるのが、自然なコミュニケーションといえるでしょう。
そのためには、採用基準を基に「この質問で何を確認したいのか」という意図をしっかり持つことが重要です。それがブレなければ、質問の仕方は面接官に任せていいでしょう。さまざまなレパートリーで質問できれば、候補者は対策を立てにくくなります。
――では最後に、採用面接に臨む上で、面接官が心に留めておくべきことを教えてください。
面接は「見極め」の場であると同時に「動機付け」の場でもあります。採用面接では、面接官が候補者を選ぶ立場と思われがちですが、同時に候補者から選ばれる立場でもあるのです。「この会社で働きたい」と思ってもらえるよう、候補者に合わせた価値を提示できなければ、優秀な人材を惹きつけることはできません。
そのためには、1回目のインタビューでお話しした「心理的安全性」のある場づくりを徹底し、対等な立場で誠実なコミュニケーションを心がけることが不可欠です。面接官一人一人が会社の「顔」である自覚を持ち、候補者にとって有意義な時間を提供することが、最終的に良い採用につながると信じています。
酒井利昌
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ取締役。これまで携わった会社はすべて採用目標達成を実現。独自のコンサルティングプログラムにより、採用できない会社を自力で採用できる会社へと変えている。著書に『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』(フォレスト出版刊)がある。
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