転職による年収の変動は、年代によってどんな違いがあるのか。パーソルキャリアが発表した「年代別の転職時の年収変動レポート」から20〜40代転職者の年収額の変動を見ていこう。
調査は、2019年度上期と2025年度上期にdodaエージェントを利用した転職者のデータを分析し、年代別に算出。なお、決定年収とは、転職者を受け入れる企業が採用決定時に個人に対して提示する年収のことを指す。
20代転職者の転職前後の年収変動をみると、2019年度は横ばいだったが、2025年度は5%増加し、平均年収額も399万円から420万円と13%増えた。決定年収の分布では、「400万円以上〜800万円未満」(51%)の割合が半数以上を占めた。
金融、IT・通信、コンサルティング業界などで決定年収額が増加傾向にあり、その要因として、若手層の離職防止や社員定着策としての賃上げ、即戦力採用へのシフトなどが挙げられる。
30代の年収変動は、2019年度は減少したが、2025年度は微増。平均決定年収額は495万円から503万円へと9%増加した。決定年収の分布では「400万円以上〜600万円未満」の割合は変わらないものの、「600万円以上」が22%となり、11ポイント増えた。
30代では、金融、IT・通信、コンサルティング業界に加え、物流業界でも決定年収額が増加した。団塊世代の大量退職や労働時間削減による人材不足に対応するため、管理職候補や業務効率化を推進できるデジタル人材の需要が高まっていることが要因と見られる。
40代の年収変動は、両年度ともに減少傾向だったが、減少幅は小さくなった。一方で、平均決定年収額は2019年度の537万円から558万円へ4%増加。決定年収の分布をみると、「800万円以上」が10%となり、2019年度比で5ポイント増えた。
40代ではIT・通信、医療系サービス、建築業界などで決定年収額が増加する傾向が見られた。IT・通信業界では、DX推進や外資系企業との競争激化に加え、さまざまな業界で社内SEの採用が増加したことが年収水準の引き上げにつながった。医療系サービスでは、介護事業大手による全国展開や新規施設開設が進み、施設長やケアマネジャーなど経験豊富な人材の採用ニーズが高まっている。建設業界では、高度経済成長期に建設された建物やインフラの老朽化対策、SDGs・ESG推進による省エネ化・脱炭素化への対応が急務となっており、1級建築士や施工管理技士など高度な専門性を持つ即戦力人材の採用が活発化しているという。
DX推進や外資系企業との競争激化、経験豊富かつ高度な専門性を持つ即戦力人材の採用が活発化していることにより、各業界で40代の決定年収額が引き上がった。
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