成績の低い営業ほど、「沈黙」を恐れることにも触れたい。
商談中に静寂が訪れると、焦ってしまう。何か話さなければ、と思ってしまうのだ。
だから無理に話題を探したり、よけいな説明を始めたりする。「ちなみに、この商品はですね……」「そういえば、他のお客さまでは……」と、間を埋めようとするのだ。しかしこれは大きな間違いである。
成績がいい営業ほど、「間」を武器にしている。
例えば、提案を一通り終えたとき。多くの営業は、すぐに「いかがでしょうか?」「ご質問はありますか?」と、矢継ぎ早に話しかける。一方、優秀な営業は、しばらく黙って待つ。何も言わずに、自分が持ってきた資料や、メモ書きなどに目を配りながら、じっくりとお客さまの反応を待つのだ。
この「待つ」という行為が、実は強烈なプレッシャーになる。
お客さまは考える時間を与えられ、そして、その沈黙に耐えられなくなり、自分から話し始めるのである。「実は、こういう懸念があって……」「正直に言うと、予算が……」と、本音を出してくる。沈黙があるからこそ、お客さまは自分の考えを整理し、本当の気持ちを語り始めるのだ。
クロージングを最も強力にしたい場合は、「無言」を貫くことである。
相手の要望・ニーズに沿った解決策や提案をしても、なかなか相手が決められないときがある。理屈ではなく、踏ん切りがつかないケースだ。
お客さまはすでに十分な情報を持っている。あとは決断するだけだ。なのに営業が余計なことを言うと、かえって判断を鈍らせてしまう。
「ダブルバインド」というコミュニケーション技術を活用して二者択一を迫ってもいい。だが、あえて言葉を発せずに待つという手もある。
「AプランとBプラン、どちらがよろしいですか?」
と聞いたあと、黙って待つのだ。何も言わず、ただ相手の目を見て待つ。
この「間」を恐れずに無言を貫くから、お客さまは強烈なプレッシャーを感じるのである。そして「では、Aプランで……」と、自分から決断を下すのだ。
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