しかも、これまでと大きく異なるのは、賃上げする余力のない中小企業・小規模事業者まで「保護」をしてくれる、という資金繰りに悩む零細企業経営者が泣いて喜びそうなことまで言っている点だ。
「賃上げ税制を活用できない中小企業・小規模事業者、さらには農林水産業などを支援する推奨メニューを設け、地域の実情に合った的確な支援を速やかにお届けいたします。あわせて寒さが厳しい冬の間の電気・ガス料金の支援も行います」
「賃上げ税制」とは、対象となる法人や個人事業主において給与等支給額が一定以上増加すると、その増分に応じて特別控除ができる優遇措置だ。そもそも賃上げの余力がなく、赤字決算で法人税を払っていない零細企業には関係がない。そのため、資金繰りが苦しい、従業員を低賃金でしか雇えないような小さな事業者は、潰れてしまっても構わないということかと批判が寄せられていた。
そこで高市首相は所信表明演説で明確に「守る」と断言して、「賃上げできるほど体力のない赤字の中小企業・小規模事業者」まで公金を投入するという「大盤振る舞い」に打って出たわけだ。
これだけ大規模なバラマキが実現すれば「補助金ビジネス」が活況することは言うまでもない。
「政府の中小企業支援補助金で最新AIに設備投資を」「今がチャンス! 政府の賃上げ支援を利用してDXを推進」なんて感じで、中小企業・小規模事業者の周りはちょっとしたバブルになる。
ただ、先ほどの賃金の話と同じで、利益を得られるのは一部の業界の事業者だけで、一般の人々にはほとんど影響がない。
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