こういう現象は安倍政権でもあった。2016年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されると、「一億総玉砕みたい」「ブラック労働を助長するのでは」という批判が相次いだ。
すると、ほどなくして電通の新入社員が過労自殺をしていたことが発覚。当時、政府が労働市場の規制緩和など「働き方改革」を進めていたこともあり、国会で取り上げられ、ご遺族が首相と面会するほどの「日本の大問題」になったのである。
つまり、高市首相に感化されて「ウチのチームも目標達成のために馬車馬のように働くぞ」なんて冗談でも口を滑らせたら、SNSやらで拡散されて「ブラック企業」のレッテルを貼られてしまう恐れがあるということだ。
……といろいろ予想したが、高市政権の最大のポイントはやはり「バラマキ」だ。
コメ農政も前政権の増産方針から舵を切って、需要に応じて生産調整していくという。これは日本のコメ農家を“補助金漬け”にして競争力を低下させた減反政策の事実上の復活である。
バラマキで経済が成長することはなく、むしろ産業を弱体化させるのは、コメ農政や中小企業を見れば明らかだ。ただ、一方でバラマキによって一部の人々は潤うし、ビジネスモデルが破綻した事業が「延命」できるので、そういう人々の生活が守られるのも事実だ。
特にJAと日本商工会議所は、少数与党に落ちた自民党にとって、これからの選挙を見据えると大事な「お客さま」である。ということは、彼らの求めに従って、高市政権のバラマキはこれからさらにド派手になっていくということだ。
IMF(国際通貨基金)が財政健全化を求めているように国際社会の反応によって、日本の積極財政がどこまで続けられるのかは未知数だ。ビジネスパーソンの皆さんはせっかくなので、この「公金つかみ取り」のチャンスを生かしていただきたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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