「年収の壁の引き上げ」に関連して行われた2025年度の税制改革。基礎控除と給与基礎控除の引き上げ、特定親族特別控除の新設に伴い、今年度の年末調整の書式が変わります。各企業の担当者は年末調整の準備に追われていると思われますが、それ以外にも年収の壁の引き上げは、106万円の壁の撤廃や配偶者手当の見直しなど、企業の社会保険や賃金制度への影響も無視できません。
そこで今回は、主に社会保険に関する年収の壁の変更は企業にどのような影響があるのか、社会保険労務士が解説します。
年収の壁とは、税金や社会保険料の負担が増える収入のラインを指します。給与明細の額が増えても、手取りが壁を超えると税金や社会保険料の支払いが発生するため、働く時間を抑える人がいました。年収の壁の引き上げは、手取りの増加と人手不足の解消という2つの課題を解決する目的があります。アルバイトで働く学生やパート社員だけでなく、配偶者手当のあるなしにも関わるため、正社員にも影響があります。
年収の壁は以下の3種類です。
(1)所得に対して税金が課せられる税金の壁
(2)社会保険料の壁が発生する社会保険の壁
(3)パート労働者の配偶者の収入により支給が決まる配偶者手当の壁
税金の壁が103万円から123万円に引き上げられても、106万円を超えれば社会保険料の支払いが発生するため、手取りは増えないという状況になる人もいます。つまり税金の壁だけでなく、社会保険の壁を考慮しないと手取りの増加につながりません。
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