では、そのようなデキる社員を、心身を不調にさせるまで「何が」追い込んでしまうのでしょうか。調査をしたところその原因は主に三つありました。
一つ目は「本人自身」です。
デキる人というのは、誰に言われずとも自分に高い目標設定を掲げる傾向があり、そして誰に言われずとも自分で自分を追い込むことができます。だから実績もあげられるのです。さらには会社や上司など、他者や周囲が自分に求めてくる高いハードルも「できません」とは言わず「とりあえずやってみます」と言い、努力します。
そしてやり始めて、「やはり高いハードルだな」と感じても、素直にその期待に応えようと頑張り過ぎてしまいます。体力も精神力も生まれつきタフな耐性の強い若者であればいいのですが、そうではない場合、心身をやられてしまい休職・退職など取り返しのつかないことになる恐れが生じます。そうならないよう、会社や上司が部下をマネジメントする必要があります。
二つ目は「上司」です。
上司にもさまざまなタイプがいますが、部下がメンタルをやられてしまうケースの上司は意外にも実績を持った、いわゆる「デキる」タイプの上司も多いことがわかりました。これは実際にメンタルをやられて退職をしたことがある方達にヒアリングをした結果ですが、その理由を聞いて納得しました。つまり「デキていない上司」が自分の上司であったら、コミュニケーション上の多少の上司への不平不満はあるかもしれないけれど、自分が上司によってメンタルをやられることはない。
なぜなら自分自身は仕事で実績をあげているから実績をあげていない上司から何を言われても特に気にならないから」ということでした。むしろ仕事ができた彼らのメンタルを追い込んでしまうのは「仕事がデキる上司」のほうでした。デキる上司から言われることは至極真っ当なことばかりなので、無視することはできなかったのです。
そしてデキる上司が、自分のためを思ってもっと早く成長できるよう「良かれと思って」指導やアドバイスをしてくれることもわかっているので、だからこそ上司の期待に「苦しくても断れず」「逃げ場がなくなり」「さらに自分を追い込んでしまった」ということだったのです。
私はこれを聞き、本当にもったいないことだと思ったと同時に、上司の「良かれと思って」が逆に部下を追い込んでしまうことがある、つまり上司と部下の「距離感」が非常に大切であると思いました。そしてその距離感というのは、立場上、部下側からは調整しづらいものです。そのため、上司側が部下を見守りながら、状況に応じて距離感を調整していくことが重要なのだと理解しました。
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