CxO Insights

ハワイ旅行復活のカギとなるか? 1週間の船旅を「最安45万円」から提供、フライ&クルーズの勝算(1/2 ページ)

» 2025年11月07日 08時00分 公開
[中西享ITmedia]

 日本人があこがれる常夏のハワイ。ハワイアン航空と、大手クルーズ会社のノルウェージャンクルーズラインが、フライトとクルーズを組み合わせた「フライ&クルーズ」によるハワイ4島を巡る1週間の旅を訴求している。

ハワイアン航空と大手クルーズ会社のノルウェージャンクルーズラインが、ハワイ4島を巡る1週間の旅を訴求している(以下、旅の写真はノルウェージャンクルーズライン提供)

 世界からハワイを訪れる観光客数は、コロナ禍前の水準にほぼ回復してきている状況だ。一方、日本人の観光客数は、物価高と円安も加わってコロナ禍前の半分以下にとどまっている。それだけに、この「フライ&クルーズ」に、日本人観光客数を増加させてほしいとの期待が、ハワイ州観光当局など旅行関係者の間で高まっているようだ。

 クルーズの費用は稼働によって変動するものの3000ドル前後(約45万円)から販売している。これに羽田とホノルル間のハワイアン航空の運賃(エコノミークラスの場合が往復で約12万円、ビジネスクラスが同57万円)が掛かる計算だ。合計するとエコノミークラス利用で約57万円、ビジネスクラスは102万円。この費用には食事代やチップなども含まれている。

 日本発ホノルル往復のハワイ諸島「フライ&クルーズ」の狙いは? ノルウェージャンクルーズラインの矢島隆彦日本地域代表と、ハワイアン航空の坂口暢日本支社長に聞いた。

矢島隆彦(やじま・たかひこ)フォーシーズンホテル&リゾート、マリオット・インターナショナルの統括営業本部長、アメリカン航空の日本地区代表・営業本部長を勤め、2023年9月にノルウェージャンクルーズラインに入社、日本地域代表に就任
坂口暢(さかぐち・とおる)JTBで勤務し、アメリカン航空で33年間勤務した後の2024年5月にハワイアン航空の日本支社長に就任、販売戦略やコマーシャル部門を統括している

飛躍するクルーズ業界 土曜の夕方に羽田発を毎週

 日本のクルーズ業界は、いま大きく飛躍しようとしている。商船三井クルーズが2024年12月、新しいクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」(三井オーシャンフジ)を投入。すでに運航していた「にっぽん丸」と2隻体制にした。

 郵船クルーズは「飛鳥II」に続く新造船の「飛鳥III」を2025年夏に就航させるなど、乗客増に備えてきている。集客する側では、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドによる、2028年度に就航を予定している東京発着のディズニークルーズの動向も見逃せない。クルーズ客はこれまで会社をリタイアした中高年層が多かった。最近は休暇が取りやすくなったこともあり、より若い世代や子ども連れなどもターゲットにしようとしている。

 外国籍のクルーズ船会社は、新たなマーケットを狙って日本向けに配船する数を増やしているようだ。日本やアジアの富裕層を対象にしたクルーズ客の争奪戦は、激しさを増している。

商船三井クルーズは「MITSUI OCEAN FUJI」(三井オーシャンフジ)を就航(以下、提供写真)

 そんな中でノルウェージャンクルーズラインとハワイアン航空がタッグを込んだのが今回のフライ&クルーズだ。

 例えば羽田空港から土曜日の夜に出発する。土曜日午前にホノルルに到着。入国手続きや買い物をして、午後7時にホノルルからクルーズ船「プライド・オブ・アメリカ」(8万439総トン、乗客定員2180人)に乗船してクルーズが始まる。

 矢島日本代表は「ホノルルに到着してから乗船まで、シームレスな時間を過ごせるのは非常に便利で、滞在時間の節約になります」と、そのメリットを強調する。ノルウェージャンクルーズは、このスケジュールで年間52回、ハワイ諸島周遊7日間のクルーズを予定している。

 矢島代表は「現在日本人は年間で400〜500人が乗船している。(乗客数が増えた場合は)この島めぐりクルーズにもう一隻、船を投入することも検討したい」と話す。船内で使われる言語は英語と日本語だ。「日本人客が不便さを感じないように設計している」という。

 オアフ島、マウイ島、ハワイ島、カウアイ島を巡った後、ホノルルに戻ってくるコースで、それぞれの島で個性豊かなスポットをゆっくり訪問できるようにした。通常のツアーでは訪問できない離島の魅力を訴求していく。

ドレスコードもないフリースタイル

 矢島代表は、日本人のクルーズ人口について「2019年には35万人まで増加しました。しかし2024年でも約22万人までしか回復していません。国土交通省は2030年にクルーズ人口が100万人まで増えると予測しています」と説明する。

 「日本人はクルーズと言うと、1000万円くらい費用が掛かるという先入観を持っていて、ハードルが高いと思っている人が多い。まずこうした考えを払しょくしたいと考えています。クルーズは便利で割安で楽しい旅なのだということを、このツアーを契機に啓蒙(けいもう)していきたいと思います」

 矢島代表がクルーズの特徴としてアピールするのが、堅苦しいドレスコードを設けていないフリースタイルクルーズな点だ。「特に女性のお客さまなど、どの服を着ていったらよいのか神経質にならなくてよいのです。ドレスアップしたい方はどうぞ。カジュアルでも大丈夫です、という多様性を重視したスタイルを採用しています」

 ドレスコードがあると、男女ともにフォーマルな服装を求められる。すると、持参する衣類も多くなりがちで、荷物の量が増えてしまう。今回のツアーはその必要性がないため、客にとって負担が少ないと言えそうだ。

クルーズ船「プライド・オブ・アメリカ」の図書室

贅沢なエンタメサービス

 船内ではエンターテインメントプログラムを充実させた。ブロードウェイのミュージカルを舞台ごと船内で上演しているため、人気のミュージカル「BEETLEJUICE」「BURN the FLOOR」を、ブロードウェイと同じ臨場感で楽しめるようにしている。ハワイのスピリットに合わせて企画した生演奏やパフォーマンス、コメディーショーなどもあり、アイランドホッピング中も退屈することはない。食事は7つの無料ダイニングと6つのスペシャリティレストランの計13種類で、カジュアルな軽食や本格的なレストランやバーまで多彩なラインアップから選べるようにした。

 船内はスターリンクとつながっているため、海上を航行中でも常にネット環境を提供している。矢島代表は「この船では仕事とバケーションの両方ができるワーケーションを楽しむ方もいます」と話す。急な連絡があっても、ネットがつながっているため、常に仕事の関連先や友人、家族とも連絡ができる。

クルーズ船「プライド・オブ・アメリカ」のレストラン
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR