このコラムの執筆時点で、今回の事案についてはJ-CASTしか報じていない。また、なか卯を運営するゼンショーホールディングスや、なか卯の公式Webサイトでも、本件に関する発表は出ていない。おそらく、多くの人々に「飲食店においては、人手不足が常態化しており、ワンオペ(複数人で行うべき業務を1人でやること)が珍しくない」といった現状認識があり、だからこそ報じるまでもないと判断されたのだろう。
実際にXでも「床ではないが積み上げる状態はある」といった現場の声が見られた。確かに害虫などの異物混入と比べれば、食器、しかも食後のものをトレーごと床に置くことは、衛生面の懸念が少ないかもしれない。
とはいえ、ワンオペが社会問題であることも事実だ。2022年には「すき家」店員が勤務中に倒れ、後に亡くなった事案があった。運営会社は当時、午前5〜9時に1人勤務体制の店舗があると発表。「お客さまがストレスなく店舗を利用できることと、従業員の業務負担を考慮」した結果だとした。なお、すき家側は併せて、体調不良を知らせる非常ボタンを従業員が装着していなかったことから、本部が異変を察知できなかったとも説明している。
SNSでは「ユーザーとの認識のズレ」を感じさせる不祥事は、得てして炎上につながりがちだ。今回はさほど炎上せず、ボヤといった形かもしれないが、こうした“火種”を軽んじると、のちのち大きな痛手になる可能性もある。
また、1つの事案だけでなく、積み重ねてアウトと判断されることもある。その点においては、床置きトレーの件もその要素の1つになりかねない。加えて、今回の「なか卯」と先述した「すき家」は別ブランドではあるものの、どちらもゼンショーグループに属している。系列全体の“社風”として、就労環境の是正に前向きではないのではといった印象を消費者に残しかねない。
実際のところ、その疑念は日々積み重なりつつある。ゼンショーとワンオペをめぐる問題は、10年以上にわたり指摘されてきた。にもかかわらず、定期的にこうした事例が伝えられているとなれば、抜本的な解決策が取られていない、もしくは講じても効果がないというイメージが付くからだ。
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