パワハラは当然、非オーナー系企業でも起こり得ます。加えて、市役所という公共組織においてもパワハラは発生しうるということが、交野市のケースから分かります。
市役所の幹部職員2人が複数の部下に対して「誰に言うてんねん、オラァ!」などと怒鳴りつけているパワハラ音声が明らかになり。暴言だけでなく、暴力行為によりケガを負った部下もいたというのは言語道断です。交野市のケースは、市役所という公共組織におけるパワハラの横行というショッキングな事実だけでなく、もう一点、組織としての対応のまずさも大きな問題となっており、その点にも注目が集まっています。
2024年7月に、上司によるパワハラ被害の相談を受けた職員からの内部通報が、市役所の人事課あてにあったといいます。同課は通報者へのヒアリング調査を実施したものの、被害を受けたとされる職員へのヒアリング調査はこの10月まで実施しませんでした。結局、10月に内部通報した職員らがパワハラ通報を「放置された」と記者会見して、この事実が明らかになりました。
会見を受けて山本景市長は、被害者へのヒアリングが未対応であった理由について「人事課が内部通報の要綱を厳格に解釈して動けなくなった」と話しています。「内部通報の要綱を厳格に解釈して」の表現自体が不明瞭ではありますが、内部通報があった段階でパワハラ有無の判断に不可欠であるはずの当事者ヒアリングがされていなかったというのは、論外であると言わざるを得ません。
交野市におけるパワハラの事実認定、原因分析は、2026年1月に組成する第三者委員会の調査結果を待つことになりますが、この話からは、お役所的「事なかれ主義」の典型を垣間見たように思えます。
「厳しい指導」→「パワハラ」とは限らない 上司が真に注意すべき“余計な一言”とは
令和になっても「パワハラが引き起こす悲しい事件」が減らない、4つの理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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